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今は昔、あるところに食べ物を作るのは得意だけど怠け者の男がいました。 男は持ち前の技術で和菓子屋を経営していましたが持ち前の怠け癖があったせいか なかなか繁盛しませんでした。 男はどうやったら稼ぎが出るかとかどうやったら早く売れるなど まぁ怠けからきたものですが、一応商売人にとってまともな考えをしていました。 けど考えても何も思いつかず、結局いつものようなだらだらと売ることになりました。 ある朝、起きて店を開こうとすると店の前にゆっくりれいむがいました。 「ゆっくりおかしちょうだい!!!」 お菓子でも買いに来たのでしょうか、白銅の硬貨を口にくわえて綺麗な眼差しでこちらを見ています。 しかし男はれいむを見てドス黒い思考を働かせました。 (こいつ確か饅頭だよな……) 男は近くに誰もいないことを確認するとれいむを店の中へと連れ込んでしまいました。 そして男は調理所へ行きれいむを調理台の上に置きます。 「おじさんもしかしてれいむをたべたいの?じゃあおたべなさい!」 そんなれいむの言葉を無視して男は戸棚から巨大なスポイトらしきものを取り出しました。 何で菓子屋がそんなもの持ってるのかは気にしないで下さい。 そして男はそのスポイトをれいむの下腹部へと一気に突き刺しました。 「ゆっ!?じゃどうぐいはやめてね!!!」 別に男は邪道食いするために刺したのではありません。男はスポイトからどんどんと れいむのあんこを吸い取っていったのです。 吸い取られていくたびにぷにぷにしているれいむの頬はこけ落ちていきました。 「ゆ、ゆっくりはほろびぬ。なんどでもよみがえるさ!!!」 そしてその言葉を最後にれいむの身体はぺったんこになってしまいました。 男は吸い取ったあんこを生地で包みさっと蒸していくと、あっという間に手のひらサイズの お饅頭が二百個くらい完成しました。 原価はタダ、そしてゆっくり一つでこの多さです。 男はどうして今までこんな事を考えなかったのかと自分を嘆きながら その饅頭を普通の饅頭として店で売り始めました。 「あら、お饅頭が安いわね。三つほどもらえる?」 昼になり人気が出てきた頃、れいむのあんこで作ったお饅頭は瞬く間に売れていきます。 いつもの半額の安さ、どこの店よりも安い!をキャッチコピーにした結果 多くの客を手に入れることが出来たのです。 ゆっくりのあんこを使った事は評判が悪くなるので言いませんでした。 「あら、もう閉めちゃうの?」 しかし男は元々怠け者であったためか売り上げのノルマが達成するとさっさと店を閉めてしまいました。 ゆっくりの抜け殻を他人に見つからないように山に埋め、男は床へ付きました。 次の日、起きて店を開けると店の前に大勢の人がいました。 一体どうしたのかと男が訪ねるとそのうちの一人が男に何かを突き出しました。 眠気で閉じかかった目を凝らして見るとそれはちっちゃいゆっくりれいむでした。 「お宅で買った饅頭がゆっくりに変わったのよ!どうしてくれるの!」 男は驚きました。よく見てみると近くにいた人々は全員昨日店で饅頭を買った人でした。 皆は口々に「戸棚に入れておいたのに逃げられた」や「お墓にお供えしていたらいきなり跳ね始めて 驚きのあまりこっちも墓に入りそうだった」などと言っていきます。 男は困り果ててしまいました。ここでゆっくりのあんこ使ったからなどと言ったら この先評判悪くなるどころか村八分にされてしまうかもしれなかったからです。 そう言えばまだ三十個ほど残ってたなと思い男は怒り狂う客達を尻目に 菓子を保存する冷蔵庫がある調理所へと向かっていきました。 調理所へいくと何処か騒がしい声が冷蔵庫の中から響いています。 男は恐る恐る冷蔵庫を開けてみました。 なんと中には手のひらサイズのゆっくりれいむ達が縦横無尽に跳ね回っていたのです。 「「「「「「「「「「「「「「「さあ!おたべなさい!」」」」」」」」」」」」」」」」」」 れいむ達は男の姿を見ると冷蔵庫から飛び出し男の身体を這い上がっていきます。 そして次々と男の口の中へと飛び込んでいきました。 男は何とか飲み込もうとしましたが結局24匹目の時点で喉を詰まらせて気絶してしまいました。 本日の教訓 食品偽装は犯罪です 今まで書いた物 ふえちゃうぞ! のうかりんとむかしのゆっくり ムスカがいたぞW まさにゆっくりハザードだ -- 名無しさん (2009-01-21 10 11 52) イソップみたいな戒めのある話、王道だけどいいね!! -- 名無しさん (2009-01-21 13 34 42) 悪いことをしちゃいかんな、という教訓だね、わかるよぉ。 -- 名無しさん (2009-01-21 15 58 03) 死ななくて良かったな。やっぱり妖怪は怖い。 邪道食いには少し笑った。 -- 名無しさん (2010-04-21 14 19 12) 最後の一行で吹いた。 -- 名無しさん (2017-01-03 15 05 07) 名前 コメント
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「ここはお兄さんのおうちだよ!!」 ゆっくりれいむの家族がいない間に戯れで巣を乗っ取った 画用紙にゆっくれいむっぽい絵が描かれたポスターなのか何なのかよく分からないものは破り捨てたし 川辺にある磨かれてキラキラした石は全部穴を掘って埋めた 小箱に集められていた花や木の実、虫の死骸なんかも一緒に しばらくすると、ゆっくりれいむ一家が帰ってくる 「おにいさんだれ?そこはれいむのおうちだよ」 「あんた誰?ここはお兄さんのお家だよ」 一番最初に飛び込んできたちびゆっくりれいむにそう返してやると すごすごと巣から出て行った 外では「おかーさん、れいむたちのおうちにへんなひとがいる」とか言ってる 「失敬な」 次は母親だろうか、大きなゆっくりれいむが入ってくる 「ここはお兄さんのお家だよ。ゆっくりできないゆっくりれいむは帰ってね!!!」 「ゆっ?」 自分がゆっくりできない奴だと言われ、動揺してる 「ゆっくりできるなら、ここにいていいよ!!!」 「ゆっ?」 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっ?ゆっくりしていってね!!!」 母親ゆっくりは混乱している 「ゆっくり聞いてね。ここはお兄さんのお家」 「ちがうよ。れいむたちのおうちだよ」 「ゆっくり証明してね」 「れいむたちのたからものがあるよ。ゆっくりさがしてね」 「ゆっくり探してもそんなもの無いよ!!」 母親ゆっくりは辺りを見回す 確かに子供たちが自分を描いてくれた絵画もないし、川原まで冒険して見つけた宝石もない たっぷりと蓄えた美味しい匂いのする食料倉庫もない 「住む所が無ければ、ここに住んでもいいよ。ただし、ゆっくりしていってね!!」 「ゆっ」 母親ゆっくりは思った 自分達はこの人の家を間違えて自分の物と言ったのにそれを許してくれて 帰り道の分からない自分達に家を間借りさせてくれる。なんていい人なんだ それから俺とゆっくりの共同生活が始まった 「おなかへった」 1匹の子ゆっくりが言うと、それはすぐに周りの子ゆっくりたちに波及した 「おなかへった」「なにかたべさせてね」「ゆっくりおなかへった」 俺はわざと首を傾げてやる。何を言ってるのか分からないよ。という具合に 「おにーさん、おなかへった」 ついに母親ゆっくりまで俺に食べ物をねだる 「お兄さんは家を貸してあげるとは言ったけど、育てるとは一切言ってないよ。ゆっくり理解してね」 「ゆ・・・・ゆっくり理解したよ。待っててね。ご飯持って来るね」 そう言って母親ゆっくりは外に出て行く 俺はすぐさま子ゆっくりたちを風呂敷で包み川に流す この間わずか5分。虐待とか虐待じゃないとか喚く暇すら与えない 「ゆっくりかえってきたよ」 もちろん巣には俺しかいない 「ゆっ、こどもたちはどうしたの?ゆっくりせつめいしてね」 「あ、カラスに食われた」 「ゆっ!!どうしてゆっくりたすけてくれなかったの?!」 「お兄さんは家を貸してあげるとは言ったけど、守るとは一切言ってないよ。ゆっくり理解してね」 「ゆ・・・ゆっくりりかいしたよ・・・」 夜も更け、ゆっくりれいむが眠る頃 俺は落ちてた木の棒で母親ゆっくりを殴る びっくりしたのだろう。母親ゆっくりは言葉通り飛び起きた 俺は間髪入れずに、母親ゆっくりを捕まえ目の前に持ってくる 「お兄さんは家を貸してあげるとは言ったけど、生かすとは一切言ってないよ。ゆっくり理解してね」 そして、続ける 「ここは元々は君達のお家でした。でもお兄さんが君達の宝物をぜーんぶ捨てて、乗っ取ったの、 それに気付かずに、君は俺が親切な人だと信じ込んだの、ゆっくり理解してね」 母親ゆっくりがボロボロ涙を流す 「可哀想なのは君の子ども達。カラスに食われた?あれはウソ。ホントはお兄さんが川に捨てた 君がちゃーんと理解してたら子ども達は死なずに済んだかもね。ゆっくり理解してね」 巣から出て、母親ゆっくりを地面に置く なんか言ってるけど、涙声でよく分からない。ゆっくり理解していこう こいつも今から自分の不幸をゆっくり理解していくんだから
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弱目のゆっくりゃ虐待SSです。ゆっくりゃ虐待が嫌いな人は見ないで下さい。 じぶん設定(笑)がいっぱい出てきます。 れみ☆りあ☆う~! 昼に公園を歩いてるとれみりゃがついてきた。 「うーうー☆おにいさんこっぢむいて~」 見ると所どころ汚い。どうやら公園の傍の砂場で遊んでいたようだ。 その顔は朗らかな笑顔で目は糸のようだ。 人の子供ほどの背なのに顔はやたら下膨れでほっぺたがやや赤い。3頭身くらいだろうか。 背中には羽と思しきものがついている。そのくせババクサイ服だ。 頭には大阪ドームみたいな帽子が付いている。髪は灰色のくすんでぼさぼさだ。 それはまぎれもないゆっくりれみりゃ(体付き)だった。 「お嬢ちゃん、お名前は?」 「うー!れみりゃだぞぉー!」 この町ではめったにゆっくりと出会わないから珍しく思ったので家に連れて行くことにした。 「そっか、れみりゃ。」「うー?」 ゆっくりゃは名前を呼ばれると頭を傾げてこっちに糸のようだった目を見開く。 まるでルビーのような瞳に、俺は胸を高鳴らせた。 「お兄さんと一緒にあそぼっか?」 「う?・・・うー☆あそぶぞー☆」 ゆっくりゃはいとも簡単に誘いに乗ってくれた。 それから俺とゆっくりゃは公園の遊具で遊んだ。ブランコで膝の上に乗せてこいでやると、始めは涙目で 怖がってしがみついた。 「うー!ごわいよぉ~さくやぁん!」「大丈夫だよ」 それから慣れると「うー!」と嬉しそうにした。 次に滑り台。俺は下でゆっくりゃを待ち構える。 目をつぶりながら震えているゆっくりゃは怯えながら滑り台の階段を上って 「う~こわいよざくや~」 とプルプルしている。 「大丈夫だよ!お兄さんを信じてね!」 と笑顔で言ってやると 「う~?・・・うぅ~ん!!」と否定だか肯定だか字面だけでは捉えにくい同意をしたゆっくりゃは 口をへの字に曲げて眉間に皺を寄せて意を決した顔で滑り台からすべり降りた。 ザシュッ! 俺は降りてきたゆっくりゃを優しく抱えてやる。 「・・・?うあうあ♪おにいさんありがとぉ~だぞぉ~☆」 と目をあけたゆっくりゃはすっかり俺を信じてくれたようだ。 「お腹減ったね、れみりあ?」 「うー!おなかすいちゃったぞー!ぐぎゅるるだぞー☆うあうあ♪」 とヒゲダンスをしながらゆっくりゃは俺を見つめてくる。 その表情はすっかり結婚生活のマンネリを旅行で打開した後の車内での妻の表情だ。 といってもわかりにくいか。とにかく一人前の女の表情をこの肉まん妖精ゆっくりゃはしていた。 その後うあうあ言いながらよちよち付いてくるゆっくりゃと共に家に帰った。 途中でコイツは蝶々を追っかけたり花を摘んだり大忙しだったが俺はゆっくり待ちながら手を引いて促した。 家に帰るとゆっくりゃは嬉しそうに踊りだす。 「うっうーうぁうぁ☆うれしいぞ☆たのしーぞ☆おにいぁんのおうぢにやってきたぞぉ~~~♪」 ぷりぷりとお尻をふって踊る。 立ち止まっては羽をピョコピョコ♪ と動かしてはこっちを チラッ と見て「うー♪」としなだれる。 これを基調にした踊りのようだ。 所々「うっううー♪」「ぎゃおー♪」「うぁうぁ♪」「シャクヤぁん♪」 と合いの手を入れてくるっと回って「だいしゅきー☆」と色目を使ってくる。 正直いってウザイ。今すぐ色目をレイプ目にしたい衝動を抑える。 どうやらこのゆっくりゃは数少ない繁殖期にあるらしい。俺を交尾相手と見なしたってことか。 とにかく今はこの面白い踊りを見ながらPC起動。 よし、ゆっくりゃをちょっと虐めてやろう。 「れみりあ!こっちちょっときてごらん。」 「う~?なぁに?おにぃ」いつの間にか「おにぃ」と馴れ馴れしくなっているゆっくりゃに不快感を感じたが我慢。 目が本当にルビーみたいな綺麗な真紅色をしているがこれは肉まんだ。ステーキのテカリと同じ類なのだ。 俺は動画サイトである動画を選んだ。これをゆっくりゃに見せよう。 「面白いよ。」「う~?おもいおいお?」どうやら俺の横顔に見とれてるらしい。イライラ。 「これ見てごらん」そこには綺麗な風景画が動画に映っていた。 「う~♪きれーだぞぉ~♪うー・・・」 ゆっくりゃは見とれているようだ。俺はニヤニヤしながらゆっくりゃを観察する。 そう、これはゆっくりゃを驚かせるためのびっくり動画、風景画が突然血まみれの女の絵と絶叫する声が流れるものなのだ。 「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」 「うあああああああああ”あ”あ”!!」 ゆっくりゃはびっくりして目を大きく見開き後ろに尻餅をついて倒れた。その際に後ろのタンスに頭をぶつけた。 「う”あ”!!いだいどおおおおおおお!!!びぇえええええええええええええええええん!!!びぇえええええええええええええええん!!!! いだーーーいいいいーーーーーーどおおおおおおおお!」 うるさい。ゆっくりゃは目から肉汁の涙を流しながら顔を真っ赤にしている。 目は><こんな感じで後ろの羽がパタパタしている。意味ないのにw 「おにーざん!どーじでデヴィをおどーがずぅんだどぉ~!!うあああああんざぐやー!ざぐやー!きーーーー!!!」 うるせえな。これで殴ったらますますうるさいだけだ。 俺はゆっくりゃにチュッパチャップスをやる。 「う・・・?・・・チュパチュパ。ううー!あまーいどー♪ぷっでぃ~んだど~♪」 プリン味じゃなくてサイダー味なんだけどな笑 ゆっくりゃが重ちー語になっているのは感情が高ぶっている時だ。こうやって甘いもので大人しくさせて元のうーうー語に治そう。 「うー・・・チュパチュパ・・・あまいぞー☆うっうー☆がおっ!」 とげっぷらしき動作をした。ゆっくりゃはげっぷすらがおーなのか。 「ごめんね、ゆっくりゃ」ナデナデ「うー♪いいど☆」 一思いに肉の塊にしてやりたい所だがゆっくりゃが希少な地域だけに資源の無駄遣いはできない。 ちびちび脅かしてストレス発散に使うか。明日は町でゆっくりゃ用のケージでも買って中に入れてやる。 当分はこのゆっくりゃに色々いたずらしてやろう。食費は俺持ちだけどね。
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ゆっくりチルノの一日 紅魔館の前に広がる巨大な湖。 正確な大きさすら分からぬその湖畔には妖精からゆっくりまで、様々な生物が生息している。 それは生態系ピラミッドの下層に位置するゆっくりにとっては天敵も多いという事実を示しているが、 それでもやはり豊富な水や食料と言うのは捨て難い魅力らしく、ゆっくり達は日々危険にさらされながらも ゆっくりとした生活を送っていた。 そんなゆっくり達のうちの一匹、水色の髪に薄い色の羽、 氷精を模したゆっくりであるゆっくりチルノは今朝も狭い巣穴の中で起床の一声を挙げた。 「おはよう!あたいってばゆっくりね!」 近くには誰もいないのだが、そんなことは気にせずに伸びをする。 「ん~~~っ!」 さて、さっそく朝食を取ってこよう そう思ったゆっくりチルノは草むらに穴を掘っただけの小さい巣穴から元気よく飛び出す。 実は昨晩のうちに明日の朝食にしようと思って巣穴に木の実をいくらか蓄えていたのだが、 そんなことはもう忘れてしまったらしい。 まぁしょうがないよね!⑨だもの! 夏の暑い日差しもこんな朝早くは厳しさを感じさせない。 だが晴れ渡った青空はその日も暑い一日となることを告げていた。 そんな日差しの射す湖畔をぴょんぴょんととび跳ねるゆっくりチルノ。 しかし空腹に悩まされているその体はあまり元気がない。 「う~~………あたいってば腹ぺこね……」 誰にともなく呟きながら餌を探すゆっくりチルノ。 そもそも燃費の悪いゆっくりにおいて昨晩から何も食べていないのだから元気がないのは当然であった。 しかしどれだけ探しても餌となりそうな虫も花もなかなか見つからず、段々とその足取りは重くなっていく。 実際は探し方が悪いだけでそこら中に食べられる物はあったのだが、 ゆっくりの中でも極めつけの餡子脳、ゆっ⑨りブレインではそんなことは分かるはずもなかった。 あたいってばここで死ぬのかしら、とゆっくりチルノ空腹で朦朧とした意識で考え始めていたその時、 急に足場を踏み外して湖の近くの池とう(小さい池みたいなもの)に突っ込んでしまった。 「1+1=11!!?」 意味不明な⑨ソウルを叫んでぷかぷかと池とうに浮かぶゆっくりチルノ。 早く上がらなきゃ、と僅かに残った意識が警鐘を鳴らすが最早そこから脱出する力は残されていなかった。 頭の中に走馬灯が流れ始める。 記憶力が無いので1秒で終わった。 「ゆっくりした結果が⑨だよ……!」 ⑨なこととゆっくりしていたことはあまり関係ないのだが、 それはともかくそんなつぶやきとともにゆっくりチルノの意識は闇に沈んだ。 「ゆっゆっゆ~♪ゆゆゆ~ゆ~♪ゆ~ゆゆ~♪」 何やら音痴な歌声が聞こえてきてゆっくりチルノは意識を取り戻した。 体は相変わらず池とうに突っ込んだままだが、先ほどと違って空腹は満たされ、体は元気に充ち溢れている。 「んっぷはっ!あたいってばゆっくりね!」 何で元気になったのかはよく分からないが、とにかく元気になって復活したのだ。 あたいってばひょっとして最強に運が良いのかもしれない。 と幸せ脳回路で考えたゆっくりチルノ元気いっぱいな叫び声とともに池とうから抜け出した。 実際は運が良いとか何か特別なことがあったとかいうわけではなく、 ただ単にゆっくりチルノの体が氷でできており、池とうにはまったことで体が勝手に水分を吸収して 回復しただけなのだが、そんな理屈は当の本人は知る由もなかった。 だって⑨だもの。 因みにゆっくりチルノの氷は微妙に糖分を含んでおり、溶かすと砂糖水になっておいしいらしい。 ここでなんで氷のくせに常温で溶けないんだとか、そもそも氷が動くわけないだろとか言う突っ込みは、 饅頭が生きている世界においては野暮である。 さて、池とうから上がったゆっくりチルノは音痴な歌声の方に向かって跳ねていく。 「あたいってばゆっくりね!」 向かった先には予想通りゆっくりがいた。 それも一匹ではなくゆっくりれいむの家族である。 ゆっくりチルノよりも二回りは大きな母れいむ一匹に4匹の小さい赤ちゃんで構成されたその家族は、 歌を歌いながらお散歩を楽しんでいる最中のようだ。 「「ゆ?ゆっくりしていってね!」」 ゆっくりチルノに気付いた一家がお決まりの挨拶をする。ゆっくりチルノもそれに応えて 「ゆっくりしていってね!れいむってばゆっくりね!」 と返す。 「ゆ?おねえさんゆっくりできるちと?」 赤ちゃんれいむの問いかけに 「あたいってばゆっくりね!一緒にゆっくりしようね!」 とゆっくりチルノが楽しそうに返す。 「「一緒にゆっくりしようね!」」 あっという間に仲良くなった一家とゆっくりチルノは一緒に遊び始めた。 「ゆー。それにしても暑いよ!ゆっくりできないよ!」 しばらく遊んだあと、体中から汗を流しながら母れいむがいった。 太陽は既に天頂近くまで上っており、夏の暑い日差しがぎらぎらと降り注ぐ。 先ほどまではキャッキャッと楽しそうに遊んでいた子れいむ達も今は暑さに疲れて ぺたんと地面にへたり込んでいた。 「あたいってば暑くてもゆっくりね!」 そんな中、氷でできたゆっくりチルノだけが元気にしていた。 「ゆ?おねえちゃんつべたい?」 ふと一匹の子れいむがゆっくりチルノから発せられる冷気に気づき、側に近づいて行く。 「ゆー!おねえちゃん涼しくて気持ちいいよ!ゆっくりできるよ!」 「ゆ?ほんと?」 「れいむも涼しくなりたい!」 「ゆっくりさせてね!」 一匹の子れいむの言葉を皮切りにして次々と他の子れいむたちもゆっくりチルノに近づいて行った。 「ゆ!ほんとだ!とっても涼しいよ!ゆっくりできるね!」 「おねえちゃんすごいよ!」 「ゆっくりさせてね!」 そう言いながら4匹の子れいむはゆっくりチルノを取り囲んでその冷気にあたり、ゆっくりし始める。 「あたいってばとってもゆっくりねっ!」 ゆっくりチルノもわけはわかってないがとにかく子れいむ達が自分を頼ってくれるのが嬉しいようだ。 一方母れいむは 「おかあさんも入れてね!おかあさんもゆっくりさせてねっ!」 とその周りをぴょんぴょん飛び跳ねている。 自分も冷気にあたって涼みたいようだ。 しかしすでに4匹の子れいむで囲まれたゆっくりチルノの周りに巨大な母れいむが入る余裕はなく、 何とか押し入ろうと子れいむ達をぐいぐい押し始めた。 「ゆゆっ!どいてね!おかあさんも入れさせてね!」 しかしそんな母の態度に子れいむたちから非難の声が上がる。 「ゆゆっ!おかあさん押さないでね!」 「そんなにされたらゆっくりできないよ!」 「おかあさんはあっちでゆっくりしててね!」 「ここにおかあさんのはいる場所はないよ!ゆっくりりかいしてね!」 「どうしてそんなこというのぉぉぉ!!?」 一家が危うく親子げんかに発展しかけた時、ひらひらと何処からか蝶が飛んできた。 「ゆ!ちょうちょさんだ!ゆっくりしていってね!」 さっきまで押し入ろうとしていたのも忘れて蝶を食べよう追いかける母れいむ。 「ゆっ!ゆっ!ゆっくりして言ってね!早く食べられてね!」 何とか飛び跳ねて捕まえようとするもうまくかわせれてなかなか捕まえることができない。 そんな母の様子を、子れいむ達はゆっくりチルノの近くで涼みながら見ていた。 「ちべたいねー」 「きもちいねー」 「あたい!」 と、母親に追い立てられた蝶がふらふらとゆっくりチルノの方に飛んでいき、その顔の中心に止まった。 蝶の方も暑かったのかもしれない。 しかし突然の事に驚いたチルノは対応できず 「ゆっゆっゆ……ゆっくし!」 とくしゃみをしてしまったのだ。 本人は自覚していないがくしゃみはゆっくりチルノ最強の武器である。 体の奥の冷たい冷気と水滴を同時に飛ばすことによって向いている方向の物を一瞬にして凍らせてしまう 破壊力を持つのだ。 その冷気はゆっくりレティやゆっくりもこーでも無ければ耐えることはできないだろう。 上手く活用すればあっという間にゆっくりチルノはゆっくりピラミッドの上位まで 上り詰める事が出来るかも知れない。 最も意図してくしゃみしたりなんて出来ないので意味ないんだけど。 さて、そんなわけでその行動は本人の意思にかかわらず相応の結果をもたらす。 すなわち、その時ゆっくりチルノの正面にいた子れいむの凍結という結果を。 「ゆっ!」 短い悲鳴を上げて驚愕の表情をして凍結した子れいむを見てその場にいた他のゆっくりたちの表情も凍りつく。 茫然としたゆっくり達が凍った子れいむを見つめる凍った時間の中で、 くしゃみに驚いた蝶だけが時間が動いているようにひらひらと飛んで行った。 数秒後、我にかえった母れいむが激昂してゆっくりチルノに掴みかかる。 「れっ、れいむの赤ちゃんになにするのおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!??」 その叫び声を受けて他のゆっくり達の時間も動き出す。 「ゆっ、こんなことするおねえちゃんとはゆっくりできないよ!」 「ゆっくりどっかにいってね!」 「ゆっくりしね!」 今まで涼ませてもらっていたことも忘れてゆっくりチルノを罵倒しながら母れいむの陰に逃げ込む子れいむ達。 一方激昂した母れいむはゆっくりチルノを責め続ける。 「赤ちゃんを元に戻してね!早く元に戻してね!今すぐ元に戻してね!直ちに元に戻してね! マッハで元に戻してね!元に戻せたら許してあげてもいいよ!」 「ゆ、ゆー……」 一方責められているゆっくりチルノ。 さすがに自分が悪いことは分かっているのか申し訳なさそうにしていて何も言い返さない。 だが、凍ってしまった子れいむをすぐに戻す方法など思いつかなかった。 「黙ってないで何か言ってね!早く溶かしてあげないと二度とゆっくりできなくなっちゃうよ! それでもいいの!?」 「ゆ……ゆ!?」 ーその時、ゆっくりチルノに電流走る―! 溶かす!そうだ、溶かせばいいのだ! ゆっくりチルノはそのゆっ⑨りブレインにも関わらず、水に沈んだゆっくり達がどうなるか知っていた。 そう、水に「溶ける」のだ。 ちょうど近くには大きな湖がある。そこに入ればすぐにでも「溶ける」だろう。 色々と間違っているがとにかくゆっくりチルノにとってこれは名案に思えた。 この子れいむを元に戻すことが出来ればまた一家と仲良くゆっくりできるに違いない。 あたいってば天才ね! さて、そうとなれば善は急げ。ゆっくりチルノは母れいむに言い放った。 「分かったよ!あたいがこの子を「溶かし」て元に戻して来るよ!あたいに任せてゆっくり待っててね!」 そう言うと凍った子れいむを口にくわえ、一目散に湖に向かって走って行った。 湖畔に辿り着いたゆっくりチルノは、さっそく湖に凍った子れいむを浮かばせた。 ここで勢いよく落として氷を砕いてしまうような真似はしない。 同じ過ちを犯さないなんてあたいってば天才ね! ……実際このゆっくりチルノにそんな経験はないのだが、多分平行世界の記憶でも流れ込んできたのだろう。 とにかく、これで子れいむは氷が溶けて元に戻るに違いない。 戻った時にはきもちよく「すっきりー!」という声を聞かせてくれることだろう。 そう、「すっきりー!」という声が聞ければいいのだ。 ゆっくりチルノはゆっ⑨りブレインにそう刻み込むと、凍った子れいむがその声を聞かせてくれるのを 今か今かと待ちわびた。 落とされた凍結子れいむはぷかぷかと浮かんだあと、はたしてゆっくりチルノの思惑通り融解しだす。 その様子を見て得意満面のゆっくりチルノ。 「やっぱりあたいってばゆっくりね!」 表面の氷が溶け、やがて子れいむ本体にも水温が伝わりその体が徐々に熱を取り戻し始める。 「…ゅ…さむいよ……ゆ…?」 ついに子れいむが意識を取り戻した。 無事子れいむが生き帰ったことに全身で喜びを表すゆっくりチルノ。 すぐに元気になって「すっきりー!」という声を聞かせてくれるに違いない。 しかし聞こえてきたのは予想と真逆の悲鳴だった。 「ゆ……ゆ!?い、い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!み゛ず!み゛ずがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 急に寒くなって意識を失い、意識を取り戻したらそこは地獄だった。 子れいむの経験を端的に表すとこうなる。 本能的に水の危険性を知っている子れいむは、何とか岸に上がろうともがくがもがけばもがくほどその体は 岸から離れていく。 「ゆ?れいむってば何してるの?遠くに行かないで早く戻ってきてね!」 予想と違った状況にゆっくりチルノは慌て始める。 どうしてだろう、子れいむを「溶かせ」ばいいはずなのに。 「お゛ね゛え゛ち゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛ん゛!!だずげでえ゛え゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 ゆっくりチルノの姿を認めた子れいむは必死に助けを求め始めた。 しかしどんどん離れていく子れいむはもはやゆっくりチルノが届く範囲とはかけ離れた位置にいた。 「なんでえええええええ!?!?どおじでだずげでぐれないのおおおおおおおお!?!?」 幸運なことにゆっくりチルノは知っていた。 ゆっくりは水に「溶ける」ということを。 そして不幸なことにゆっくりチルノは知らなかった。 ………自分は水に入っても溶けないという事を。 「ゆ、ゆー。」 母れいむに責め立てらてた時のような困惑の声をあげるゆっくりチルノ。 助けにいこうとすれば自分が溶けてしまう。 何がいけなかったのだろう、自分は母れいむが言ったとおり子れいむを「溶かし」ただけなのに。 「ゆぅー!早くこっちに来てね!あたいが引き上げるよ!だから早くこっちに来てね!」 「ぞんな゛あああああああああああ!!!!だずげでよおおおおおおおおおお!!!」 ゆっくりチルノにできるのは応援の言葉を贈るだけだった。 やがて水を吸った子れいむの皮がぶよぶよと伸びはじめ、体内から餡子が漏れ始める。 その事に気づいた子れいむが涙と絶望と恐怖と後悔にまみれた悲鳴を上げた。 「いやだああああああああああああああああああああ!!!じにだくない!じにだくないよおおおおおおお!!! も゛っどゆっぐりじだいよおおおおおおおお!!まだゆっぐりじだいごとだぐざんあ゛っだのにいいいいいいい!! ぎょうはがぞぐみんなでどっでもゆっぐりずるはずだっだのにいいいいいいいい!!! まりざとあじだあぞぶやぐぞぐもじでるよおお!がまんじでどっでおいだりんごまだだべでないよおおおお!! ほがのおいじいものももっどもっどだべだいよおおおおお!!いつかどおぐまでおざんぽじだがっだよおお!! おうだももっどうまぐなりだがっだよおおおお!!ぶゆのゆぎもみだがっだよおおおおおお!! ぞれにいづがおがあざんになっでおがあざんとれいむどこどもだぢでゆっぐりしたがっだよおおおおおお!! それなのにどおじでれ゛いむ゛がごんなめ゛に゛あう゛どおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!? なにもわるいごどじでないのでぃいいいいいい!!おがじいよおおおおおおおおおおおお!! ゆめならざめでええええええええええ!!どうじでざめないのおおおおおおおおおおおお!?!? がみざま!もうゆるじで!ゆっぐりじでないでれいむをだずげでよおおおおおおおお!!! おがーざん!おねーぢゃん!まりざ!だずげでええええええええええええええええええええ!! どおじでだずげでぐれないのおおおおおおおおお!?!?もうやだおうぢがえるううううううううううう!! ゆっぐりじだいいいいいいいいいいいいい!ゆっぐりざぜでええええええええええ!!! ごんなどごろでじにだぐないのにいいいいいぃぃ…ぃ……あ、あんごが……あ………ぁ…………」 胸の内の全てを吐露するようなうざくてクソ長い断末魔の後子れいむの声は聞こえなくなっていった。 やがで皮も餡子も全て水に溶け、残されたリボンだけが子れいむの生きた証であるかのように水面に ぷかぷか浮かんでいた。 「ゆっ……うっうっ……」 その一部始終を見届けていたゆっくりチルノは耐えられない悲しみに涙を流し始める。 涙なのか氷が溶けてるだけなのかハタから見ると良く分からないが本人は泣いているつもりである。 「うっうっ……うあああああああああああああああああああああああ!!!」 耐えきれずついに大声をあげてゆっくりチルノは泣き始める。 どうして、どうして。そう聞きたいのはゆっくりチルノの方だった。 自分は子れいむを助けるために湖に落としたのに。 何で子れいむは死んでしまったのだろう。 母れいむの言うとおり「溶か」そうとしただけなのに。 わからない。わからない。 ただ悲しかった。さっきまで一緒に遊んでいた子れいむが死んでしまった事が、ただ悲しかった。 「うえええええええええええええええええええええええええんんん!!!!!」 あたりにゆっくりチルノの悲壮な鳴き声が響き渡った。 そしてひとしきり泣いた後 ゆっくりチルノは泣いていた理由を忘れた。 精神の防衛本能なのかとにかくなぜ自分が泣いていたのかすっぱり忘れてしまった。 さすが⑨!俺達に出来ない事を(ry そしてその後に残ったのは思う存分泣いてすっきりしたという感覚のみ。 「すっきりー!」 思わず声に出して叫ぶゆっくりチルノ。 そういえばよく覚えていないが確か自分は「すっきりー!」という声を聞きたがっていた気がする。 素晴らしい。目的は達成されたのだ。 何となくうれしい気分になるゆっくりチルノ。 「あたいってばゆっくりね!」 と思わず叫ぶ。そして湖に背を向け、戻ろうとしたその時 「やっと見つけたよ!」 という声が響いた。驚いてそちらを見ると先ほどのゆっくりれいむ一家だった。 いきなり子れいむをくわえて走り去ったゆっくりチルノをずっと探しまわっていたのだろう。 母はともかく子供たちはやや疲れた表情をしている。 「れいむの赤ちゃんはどこ!?早くれいむに返してね!」 母れいむがゆっくりチルノの側に娘がいないのを見て急いで詰め寄る。 しかし当のゆっくりチルノは困惑の表情を浮かべるばかり。 何故ならこの一家のことも既にゆっ⑨りブレインからは消え去っていたからだ。 「おねーさんだれ?なにいってるのかわからないよ?」 正直に自分の気持ちを言ったゆっくりチルノだったがその言葉を聞いた母れいむは驚愕の表情を浮かべたあと、 体(顔?)中を怒りで真っ赤にしてゆっくりチルノに詰め寄った。 「な゛っ……ふざけるのもいい加減にしてね!今すぐ赤ちゃんを返してね!じゃないと本当に許さないよ!」 そう言ってゆっくりチルノに軽く体当たりをする。 「ゆっ!?なに!?」 突然ことに後ろに転げるゆっくりチルノ。それを視線で追った母れいむはその先に信じられないものを見た。 湖に浮かぶ子れいむのリボンである。 「あ、あ、あ、あ……」 信じられない、といった表情で母れいむが体を震わせる。そして次の瞬間感情が爆発した。 「れいむの赤ちゃんに何したのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?」 ようやく体勢を立て直したゆっくりチルノにゆっくりとは思えぬ勢いで体当たりする母れいむ。 しかも今度は手加減抜きの全力である。 「れいむの赤ちゃんをどうしたの!?今すぐ答えてね!!赤ちゃんはどこ!?」 涙を流しながら激怒の表情でゆっくりチルノを問い詰める。 それを見て他の子れいむ達も状況を察したのか、ゆっくりチルノに攻撃を始めた。 「れーみゅをかえせええええええええええ!!」」 「よくもおねーちゃんを殺したなああああああああああ!!」 「ゆっくりしねえええええええええええええ!!!」 一家の総攻撃が始まる。 氷でできたゆっくりチルノは比較的硬いのでダメージは少ないが、それでも袋叩きはたまったものではない。 まるで抵抗できずに 「あたいは何も知らないよ!本当だよ!信じてよ!」 ただ必死に弁解をするだけだ。 「れいむの赤ちゃんを返せえええええええ!一緒にゆっくりしてた、これからもゆっくりするはずだった 赤ちゃんを返せええええええええ!!」 「「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」」 ひたすら体当たりを続けるゆっくり一家。並のゆっくりならとっくに餡ペーストになっているだろう。 「れいむってばゆっくりしてないよ!今すぐ辞めてよ!」 ゆっくりチルノは責められる心当たりがないものの必死にやめるよう懇願する。 やがてただ攻撃してもあまり効果が無い事に気づいたゆっくり一家は新たな行動に出た。 「「「ゆっくり落ちてね!」」」 ゆっくりチルノを湖に突き落したのである。 「ゆっ!?やべで!だずげてよ!」 先ほどの子れいむの凄絶な死にざまを覚えているわけではないが、それでも水はとても危険なものだと 頭に刻まれている(本当は何ともないのだが)ゆっくりチルノは必死にもがく。 しかし子れいむの時と同じようにもがけばもがくほど体は岸から離れていってしまう。 「あたいってば水だめなのおおおお!いやああああああああ!!!助けてえええええ」 必死に助けを請うゆっくりチルノ。 それに対してゆっくり一家は罵声を浴びせる。 「そうやってたすけをもとめてたれーみゅを殺したんだね!」 「おねーちゃんと同じくるしみを味わってしね!」 「おねーちゃんの仇、ゆっくりしね!」 「死ぬまでここで見ててあげるよ!感謝してね!だから苦しみながらゆっくり死んでね!」 「⑨~~~~~~!?!?!?」 ついにゆっくりチルノはパニックに陥る。 本当はゆっくりチルノは羽を使って飛ぶことができるため、簡単に水から脱出する事が出来るのだが、 パニックに陥った彼女はそれに気づくことができなかった。 例え冷静であっても自分が飛べる事を思い出せたかあやしいが。 「「ゆっくりしね!ゆっくりしね!ゆっくりしね!!」」 もはや一家は完全にゆっくりしねコールだ。 どうやらゆっくりチルノが溺れ死ぬまでそこで鑑賞し続けるつもりらしい。 だが溺れることもなく、また脱出する方法も思いつけないゆっくりチルノはいつまで待っても死ぬことはない。 このままではいつまでもコールを続けることになっただろう。 そしてその事に気付けなかったのが、ゆっくり一家の命取りとなった。 ゆっくりチルノを湖に落としたらさっさと立ち去っていればよかったのに、大騒ぎを続けたせいで、上空を 飛んでいた天敵に自分たちの存在を気づかせてしまったのだ。 「うー?」 気分よくお空を飛んでいたれみりゃは下の湖面が騒がしい事に気づいた。 自分のご機嫌なお散歩を邪魔するなんて許せない。食べちゃうぞ。 そう思って下降しながら湖面に近づいていくれみりゃ。 そこによく見るゆっくりれいむの一家とあまり見かけない青いゆっくりを見つける。 何やら騒いでいるようだがれみりゃにとってはどうでもいい。 それよりお腹がへってきた。やっぱりみんな食べちゃおう。 そう思って一気に狩りの態勢に移るれみりゃ。 ゆっくり一家が気付いた時には、すでに手遅れだった。 「れみりゃだぁぁぁぁーーーー!!」 一匹の子れいむの叫びで一家が慌てて空を見上げた時、もうすぐそばまでれみりゃが近づいていた。 逃げる間もなく、二匹の子れいむがれみりゃの両手に捕われる。 「い、いやあああああああああああああ!!はなしてえええええええええええ!!」 「れーむ食べられたくないよおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 悲鳴を上げる子れいむ達。 残った一匹の子れいむは訳もわからず一目散に逃げ出して行った。 それに対して一瞬ためらいを見せたものの果敢にれみりゃに立ち向かう母れいむ。 もう一匹たりとも自分の赤ちゃんを死なせたりするものか。 「れーむの赤ちゃんをはなせええええええええええええええええ!!!」 その瞳には強い決意が宿っていた。 だがれみりゃにはそんな母れいむの気持ちは分からない。 両手の小さいれいむを見て、自分に向かってくる大きいれいむを見て、それから考える。 ―両手が塞がっていては大きいれいむが食べられない― 大きいれいむを捕まえて食べるためには両手を空ける必要がある。 ではどうするか。 そこでれみりゃが取った行動は小さいれいむをさっさと食べて両手を空けるという合理的な方法 ――ではなかった 「うー!小さいのはいらないからぽいするの!ぽい!」 そう言って両手の子れいむを湖に投げ込んだのだ。 「み、みずいやああああああああああああああ!!れーむ死んじゃうよおおおおおおおおおおお!!」 「おねーちゃんみたいになりたくないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 水に放り込まれた子れいむ達が絶叫を上げる。 それを見て母れいむは慌てて方向転換して子れいむ達に向かって突進する。 「待っててね!今すぐ助けるからね!」 そして湖に飛び込もうとジャンプした瞬間れみりゃの手に捕われた。 「ゆ!?ゆっくりしないで離してね!赤ちゃんが死んじゃうよ!」 慌ててれみりゃの手の中でもがく母れいむ。 だがその訴えはれみりゃの耳を右から左に抜けていった。 れみりゃが考えるのは別のこと。 ―大きいれいむも片手で持てる― つまりそれはもう片方の手にもう一匹持つことができるということだ。 どうせなら両手に持たないともったいない。 そう考えたれみりゃはのこったゆっくりの物色を始める。 「うー♪一番おいしぞうなのをだべるどぉー♪」 結果、れみりゃが選んだのは残ったゆっくりの中では一番大きく珍しい、ゆっくりチルノだった ゆっくりチルノは既に自分が何で水の中にいるか忘れていた。 もがくのも疲れたので顔を水につけて水の中を見ながらぷかぷか浮いている。 「おさかなさんがいっぱい!あたいってばゆっくりね!」 もごもごと泡を出しつつ誰にも聞こえないつぶやきをもらす。 「!?」 と、急にその体が持ち上げられた。れみりゃである。 「う~♪あっかいぷでぃんとあっおいぷでぃん~♪」 楽しそうなその歌声の間違いに突っ込むものはこの場にはいなかった。 ただ両手にゆっくりを抱えて楽しそうに飛び上っていく。 「はなじでえええええええええええええ!!!あがぢゃんが!れーむのあがぢゃんが死んじゃうううううううう!!」 「あたいってばお空を飛んでるみたいね!」 対照的な声音を上げつつ、れみりゃに抱えられた二匹は空に上がっていった。 「おがあざああああああああああんん!!いがないでえええええええええええええええ!!」 「どおじでだずげでぐれないのおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?」 絶望の声を上げる二匹の子れいむを残して。 飛び上がったれみりゃはさて、どっちから食べようかと二匹のゆっくりを眺めた。 かたや 「れーむの赤ちゃんが……なんで……どうじでごんなごどにいいぃぃ……」 悲しみに暮れて嗚咽を漏らすゆっくりれいむ。かたや 「たかい!たかい!あたいってば最高ね!」 自分の危機的状況を理解していないのか、楽しそうにしているゆっくりチルノ。 ちょっと悩んだ後、れみりゃはとりあえず大きい方から食べることにした。 「う~♪おっきいぷでぃんをだべちゃうど~♪」 「ごべんねえええええええ……守れながっだおがあざんをゆるじんぶぎゅっ!?」 自分の世界に入り込んでいた母れいむにいきなり走る激痛。 れみりゃが後頭部を齧り取っていた。 「いだいいだいやべでえええええええええ!!れーむまだあがぢゃんづぐるんだがらああああああああああ!! たべぢゃらめえええええええええええええええええ!!!」 「うっ♪うっ♪うぁうぁ~♪」 絶叫を上げる母れいむに楽しそうなれみりゃ。 ―こっちのぷでぃんはなかなかの甘さだ。もう片方のぷでぃんはどうだろう― そう思って今度はゆっくりチルノを食べることにするれみりゃ。 どうやらこのれみりゃは本物のプリンを食べた事が無いらしく、 食べ物の総称としてぷでぃんと言っているらしかった。 「う~♪あ~ん♪」 大口を開けてゆっくりチルノに噛み付く。 がぶっ その瞬間二つ分の悲鳴が上がった。 「い、いだいいいいいい!あだいってば食べられないいいいいぃぃぃぃ!」 「う゛あ゛ぁぁぁぁぁ!ざぐや゛ああああああああああぁぁぁぁ!!」 何度も述べているようにゆっくりチルノは氷である。 当然固い。そして冷たい。 そんなものに思いっきり噛み付けば……痛いに決まっている。 「ざぐや゛あああああああああああ!!ざぐや゛どごおおおおおおおおお!?!?」 噛み付いた歯から頭に響く冷たさと痛みにれみりゃは悲鳴を上げて見知らぬ人物の名を呼ぶ。 そして勢いのまま抱えていた二匹を放り出し、何処かに飛んで行ってしまった。 「い、いやああああああ!!!!いがないでええええええええええええ!!」 「あたいってばおぢぢゃうのおおおおおおおおお!!」 放り出された二匹はたまったものではない。 さっきまで離してと言っていたのに今度はそのれみりゃに助けを乞う。 が、その願いが聞き入れられることはなかった。 「もっどゆっぐりじだがっだよおおおおおおおおおおお!!!」 「アイシクルウォールイーーーーーズィィィィィィィ!!」 重力に任せて二匹はばらばらに落ちていった。 さて、ここで場面は変わってさきほどの襲撃から逃げ出した子れいむである。 パニックになって逃げ出してしまって家族と離れ離れになったが、今は何とか落ち着きを取り戻していた。 そしてその落ち着きを取り戻した餡子脳は先ほどの襲撃の一つの結論を導き出していた。 ―もう自分の家族はいない― れみりゃの恐ろしさは子れいむもよく知っている。 あの状況で他の家族が助かったとは思えない。 これからは、自分はひとりで生きていかねばならないのだ。 「ううっ、おかーしゃん……おねーちゃん………」 ついさっきまでみんなでゆっくりしていたのに、いきなり自分一人になってしまった。 その悲しみはいかほどのものであろうか。 「みんなともっとゆっくりしたかったよ……でも……これからはみんなの分までれーむがゆっくりするね……」 新たな決意を胸(顔?)に子れいむが顔をあげた時、上から懐かしい声が聞こえてきた。 「ゆううううううううううううううううううううっっっ!!!!」 「おかーしゃん!?」 その声に驚いて上を見上げる子れいむ。そこには空からものすごいスピードで 自分に向かってくる母の姿があった。 「ゆ!?おかーしゃん!てんごくから会いに来てくれたんだね!とってもうれしいよ!またいっしょに ゆっくりしようね!!」 喜びでぴょんぴょん飛び跳ねつつ母へと言葉を投げかける子れいむ。 そんな娘の姿に母れいむも気付き、思わず喜びのあまり落下と言う絶望的状況を忘れる。 「ゆ!れいむの赤ちゃん!生きててくれたんだね!とっても嬉しいよ! もうほかの赤ちゃんはいないけど一緒にゆっくりしようね!」 親子の感動の再会である。 二人の距離はどんどん近付いていく。 そして…… 「おかーしゃあああああああああんぶべっ!?!?」 「れえええええええええええむぎゃあっ!!!!!」 天文学的な確率で二人の距離が0になった瞬間、お互いの名を叫びつつ仲良く餡ペーストになった。 一方同じように投げ出されたゆっくりチルノ。 重力に引かれどんどん地面が近づいてくる。 「あたいってばゆっくりしてないいいぃぃぃぃぃ!!!」 ゆっ⑨りブレインでもこのままでは死んでしまうことは分かる。 ゆっくりチルノの頭にこれまでの楽しかった思い出が走馬灯となって流れ始めた。 その走馬灯は……今度は0.5秒で終わった。 楽しかった思い出も忘れてしまうゆっ⑨りブレインの悲劇である。 そしてそんな事とは関係なく死という現実が迫ってくる。 「あたいってば幻想郷最速ねぇぇぇぇぇぇっ!」 どこぞの天狗が聞いたら怒りそうな事を叫びつつ、ゆっくりチルノは恐怖で目を閉じる。 加速された体は地面に向かって一気に落下し激突――-―― しなかった。 「ゆ?」 疑問の声を上げてゆっくりチルノが恐る恐る目をあけると、何と自分の体が浮かんでいるのではないか。 そう、この危機的状況でゆっくりチルノの本能が彼女の羽を無意識に羽ばたかせるという行動をさせたのだ。 何という奇跡!生命の神秘! 次第にゆっくりチルノも自分が飛んでいることに気づいたのか、喜びの声を上げ始める。 「すごい!あたいってば飛べたのね!」 しばらくパタパタと低空飛行を楽しんだ後、着地するゆっくりチルノ。 ふぅ、と一息ついて空を眺める。 あれほど太陽が輝いていた空は、いつの間にか夕焼け色に染まっていた。 よく覚えていないけど今日はもう疲れた。 さっさとおうちに帰って休もう。 そう考えたゆっくりチルノはゆっくりとおうちに戻っていった。 おうちの場所を忘れて3時間ほどさまよった後、 ようやくゆっくりチルノは自分のおうちを見つけることができた。 途中で自分が何をしているのかも忘れたりしたため余計に時間がかかった。 「ふぅ、あたいってばゆっくりね!」 そう言って巣穴に潜り込むゆっくりチルノ。 しかしそこには………先客がいた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪……ゆっ?だれ!?ここはまりさのおうちだよ!」 ゆっくりチルノが蓄えていた木の実を頬張っていた黒帽子のゆっくりが振り向き、自分のおうち宣言をする。 一瞬呆気に取られるゆっくりチルノだが、しかしさすがのゆっ⑨りブレインでもこれには黙っていない。 ここは頑張って自分が掘った巣穴なのだ。他人に渡すわけにはいかない。 「何言ってるの!ここってばあたいがつくったおうちよ!その木の実もあたいが集めたものだよ!」 「ふざけないでね!この木の実は最初からここにあったんだよ!ここはまりさが先に 見つけたからまりさのおうちだよ!」 傍若無人な事を言うゆっくりまりさ。 普通のゆっくりならここでさらに強く言い返すところだが、ゆっくりチルノの頭は既に混乱し始めていた。 ―そういえば勢いで言ってみたけど、自分がその木の実を集めた記憶はない。 このあたりは草が茂っていて場所が分かりにくいし、もしかしたら本当に巣穴の場所を間違えたのかも… そうだとするとここはこのまりさのいうとおり自分のおうちじゃないんじゃないんだろうか― うーん、と悩むゆっくりチルノにゆっくりまりさの言葉がとどめを刺した。 「ここはまりさのおうちだよ!でも今すぐ出ていくなら木の実を少し分けてあげてもいいよ!」 既に傾きかけていたゆっくりチルノにこの言葉は決定的だった。 ―自分がおうちを間違えてとても失礼なことをしたのに、食べ物を分けてくれるなんてなんて親切なんだろう― 「ごめんね!間違えちゃった!あたいってばゆっくりね!」 照れるように笑ってゆっくりチルノが言う。それを聞いてゆっくりまりさは 「分かったのならさっさと出て行ってね!もう来ないでね!」 そういっていくつかの固い、食べかけの木の実をゆっくりチルノの側に投げた。 「ごめんね!ありがとね!」 ゆっくりチルノは礼を述べると木の実を口に詰め込み、巣穴を抜け出していった。 後にはニヤリと笑うゆっくり魔理沙が残された。 「むーしゃむーしゃ、⑱ー!」 巣穴の側で木の実を食べてよく分からない叫びを発するゆっくりチルノ。 18は9の2倍なので2倍幸せと言う意味である。 こんなギャグを思いつくなんてあたいってば天才ね! と自己満足に浸りつつゆっくりチルノは木の実を食べ終えた。 色々あったとは言え何度も水没したことで既に必要な食事量はほとんど満たしていたので、 少ない木の実でもゆっくりチルノは満腹だった。 しかしそろそろ本当に急いでおうちを探さなくてはならない。 もうすでにまんまるのお月さんが浮かんでいる。 「あたいってばゆっくりしてらんないわ!」 慌てておうち探しを再開する。 が、いくら探しても自分のおうちはみつからなかった。 さきほどの巣穴が本当のおうちなのだから、当然である。 さらに一時間ほど涙目で巣を探し続けたがついに見つからず、 ついにゆっくりチルノは木陰にばったりと倒れ伏した。 「あたいってばゆっくりしすぎね……」 もう仕方が無い。きっと巣穴の場所を忘れてしまったのだろう。 今から巣を掘ったり探したりなんてできないし、今夜はこの木陰で眠ろう。 きっと明日になったら巣の場所も思い出すに違いない。 そう考えたゆっくりチルノは木の側で隠れるように横(縦?)になった。 しかし瞼を閉じ、いざ寝ようとすると頬にあたりがなにかかさかさするものがいる。 何かと思って目を凝らしてみると、それは蟻の行列だった。 「あたいってばラッキーね!」 目を輝かせながら目の前の蟻をパクンと食べるゆっくりチルノ。 何匹か食べたところで今度は蟻たちに息を吹きかけ始めた。 「ふーっふーっ」 本来、ゆっくりチルノが他の生物を凍結させるほどの冷気を出すにはくしゃみをするしかないが、 蟻ぐらいの小さい生き物相手であればただ息を吹きかけるだけでも凍結させることが可能なのである。 こうして蟻を冷凍保存しておき、明日の朝起きたら食べよう、と言うのがゆっくりチルノの考えだった。 20個ほど蟻の氷塊を作ったところでゆっくりチルノは眠ることにした。 そして、その氷塊を眺めながら、これなら明日の朝ご飯はごちそうね!と幸せな気分で眠りに就いた。 しかしそこはゆっくりチルノ、ちゃんと作戦に穴が開いている。 いくら凍らせたとはいえこの夏の熱帯夜、小さな氷塊などすぐ溶けてしまう。 ゆっくりチルノが熟睡した後、溶けた氷塊から蟻たちが抜け出していくのに、気づくものはいなかった。 そして翌朝。 水色の髪に薄い色の羽、氷精を模したゆっくりであるゆっくりチルノは今朝は 木陰で起床の一声を挙げた。 「おはよう!あたいってばゆっくりね!」 そして昨日作った朝食用の氷塊など当然のように忘れ、また朝食探しに飛び跳ねていく。 果たして今日はどのような一日になるのだろうか。 夏の青い空は、昨日と変わらぬ晴天の色を湖畔に住む生き物たちに伝えていた。 あとがき 今まで何度もSSを書きかけて途中で挫折したけど、初めて一つ書き上げる事が出来ました。 こういうの書く時は勢いって大事ですね。 しかしおかげで貴重な時間が6時間ぐらい潰れてしまった。 ゆっくり虐待してた結果がこれだよ! あれ?そういえばあんまり虐待はしてないような…… このSSに感想を付ける
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ゆっくり脳外科手術 俺が職場から帰ろうとしている途中で、ケータイが鳴り響いた。 エレベーターに乗り込むと同時に通話ボタンを押す。 「オイ、お前の部屋からなんかドタンバタンいってんだけどお前今仕事中だろ?」 社員寮の隣の部屋に住む友人からだった。そういやコイツは今日半休だったか。 「ああ、今から帰るとこだよ・・・カギは閉めてたと思うんだが、空き巣かもしれん。気をつけてくれ」 「ボコるか?」 学生柔道チャンプは言うことがものものしいね。 「いや、刃物でも持っていたら面倒だ。すぐに戻る」 実力あるヤツほど怪我しやすいんだよな・・・と通話を切ろうと思ったとたん、友人が言う。 「あちょっと待て、俺一人でも大丈夫そうだ・・・多分あれ、ゆっくりだし」 …声でも聞き分けたのだろう、全身を包む途方もない脱力感。どうしてくれよう。 「…即取り押さえ頼む」 「承った」 頼もしい友人で助かった、と思いながらも家の被害を想像し、俺は暗鬱とした気持ちで家への足を速めた。 ゆっくりに関する研究は遅々として進んでいない。進化樹から完全にぶっとんだところに存在する生物史の迷子。 これまでおこなわれてきたゆっくりを使った動物実験でわかったことは、どうやら中身の餡子が脳や内臓の役割を 果たすこと、多少の学習能力を持つこと、運動能力は低いこと、寿命は数年程度であること。この程度だった。 多数の亜種を持つが、中身が餡子・肉・カスタードなどと全く別なのにも関わらず交接が可能だったり、どちらとも いえない混合種が生まれることもあったりと、出鱈目きわまるその生態に、生物学会はてんやわんやである。 っていうか肉と餡子混ぜた饅頭ってどんな味だよ。オエ。 「ただいま、どうなってる」 「ゆぎぎぎぎ…どいて!ゆっくりはなしてね!!」 家のドアを開けてすぐ、屈強な友人が饅頭の群れを取り押さえているのが目に入る。 ひのふの、腕足腹の下と三匹か。紅白が一に黒白が二。どれも大きめだな。 「おう、やっぱカギ開いてたぞ。家の中の被害はほとんど無いが、こないだ買って来てやった酒瓶が割れたな」 「あちゃー…」 見ると、旅行の土産として渡された特撰大吟醸のボトルが一本、無残にも割れている…これ、プレミアつきゃ二万するのに! 「ま、重罪だな」 「言い訳しようがないな…お約束のおうち宣言までキッチリ決めてくれやがった」 「ゆっ?おにいさん!このじゃまなじじいをさっさとどけてね!」 確かにコイツ老け顔だけど、じじいとか言ってやるなよ。ちょっと青筋立ててさらに力をこめる友人。大人げねえ。 「で、どう殺す」 殺す、という単語にびくっと反応し、見る見る目に涙を溢れさせるどまんじゅう。 「ゆゆゆゆゆゆ…」 涙目で震えても駄目。饅頭三個に二万はどう見ても釣りあわない。 「そうだな、ちょっとやってみたかったことがある。一匹寄越せ」 友人は足で抑えていた黒白を蹴って寄越す。 「ゆーっ!!まわるよーっ!」 暢気な声(ちょっと楽しそうだ)をあげる饅頭を足の甲でナイスキャッチ、そのまま蹴り上げて両手で掴む。 「おにいさん、たすかったよ!れいむとまりさもたすけてね!!ついでにお詫びにおかしも持ってきてね!」 「はいはいゆっくりゆっくり(笑)」 相変わらず傲慢な饅頭の言い分を無視しつつ、新聞紙を敷き、その上に黒白饅頭をガムテープで固定する。 ただしこの時、帽子の周りにはガムテープを接着しないでおく。 「何やってんだ?」 「いや、職場で読んだ本に面白いことがな」 「べたべたするよ!まりさのきれいな髪にべたべたつけないで!」 固定が完了したら、部屋の隅から往診バッグを取ってきて、メスと鉗子、注射器などの手術器具を取り出す。 饅頭に本格的な仕事道具を使うとは、前衛的なTVコントみたいだな。 そんなことをつらつらと考えつつ注射器にオレンジジュースを詰めてゆく。 その間に友人は残りの饅頭二匹を雑誌を縛るビニールテープで縛り、持ち運びやすく逃げられないようにしていた。 「何、解剖でもすんの?」 「手術かな。こいつらの餡って一つだろ?俺らの脳はいくつかのパーツから出来てる。今日読んだ医学誌には こいつらの餡子のどのあたりが人間のどのパーツに相当するのかが大まかに書いてあった。ので、ためしに実践だ」 友人の手の中で饅頭二匹はじたばたゆーゆーとやかましいことこの上ないが、こいつらの使い道も思いついた。 「さて、準備完了だ。まずは患部を露出する」 固定された黒白の帽子を取り、バリカンで頭頂部の髪を切断。カミソリでつるつるにしてしまう。 「まりざのおぼうしとらな…ぎゃあああああ!!ま゛り゛ざの゛ぎれいな゛がみがあああ゛あ゛!!」 即座にわめきだす饅頭。喧しいな、モル少し打つか。分量がわからんが、この体積ならこれくらいだろ。 「いだっ…ゆ?…ゆっぐり…ゆぅー…」 本当に適当な生き物だなオイ。 てっぺんハゲでよだれを垂らし眠りこける黒白を見て、縛られた二匹は笑いを堪えられないようだ。 プークスクスと笑っている。仲間想いの足りない奴らだな…あとでどうしてくれよう。 友人は黙って茶を居れ、勝手に飲んでいる。 「次に切除。オイメス取ってくれ」 「はいよ」 円形にペンで線を引き、手渡されたメスですーっと浅くなぞってゆく。 ぺりぺりという小気味よい感触と共に皮がはがれ、餡子が露出する。 次に内部にある餡子の重要な器官を避けて固定し、目的の部分を露出させる。 「見てみ。ここが運動野、こっちが辺縁系な。で目的のここが脳梁」 「脳梁?これが?っていうかどれも餡子にしか見えないぞ」 「そりゃまあ、実際餡子だし。で、これから脳梁を切断してから戻すよ」 「何お前分離脳作ろうとしてたの?右脳と左脳の区別のないコイツラじゃ意味ないだろ」 「まあまあ、試してみたかったんだって、俺脳外科の知識ほとんど無いし」 「そりゃゆっくり脳外科の知識なんてほとんどの人が持ってねーよ…」 駄弁りながらも手は正確にその脳梁にあたる部分をカットし、消化されないよう (脳で消化するって本当に謎の生物だ)プラスチック片を挿入して再生を阻害すると、元に戻していった。 皮の縫合が終わると、てっぺんハゲで糸が残っている以外には特に変わったところもない黒白が出来上がる。 「さて、準備完了だ。お前ら、今までの手術を見ていたな?」 手術の経過を見て目と口をカッと見開き、ぶるぶると震えていた残りの二匹が、その顔のまま答えてくる。 「「見でいま゛じだあああああだずげでえええ!!」」 怖い。 「お前ら、ハゲのコイツはどう見える?」 「ゆっ…ぜんぜんゆっくりしてないね!ばかなの?しぬの?」 「おお、アルシンドアルシンド…そんなことよりはやくまりさたちを離してね!」 あっという間に人を小馬鹿にした顔になり、泥棒仲間をけなし始める。 何故お前がそんな選手を知っている。釈然としないがともかく仲間の間で差別意識は生まれたようだ。 「分離脳作ったってことは、あーなるほどね」 さすが同職、物分りがよろしい。テーブルの前に縛ったままの残り二匹を、左右等間隔にならべておいてくれた。 そして眠りこける帽子なしハゲ饅頭の前についたてを立て、右目と左目の間を遮る。図にするとこうだ。 ● ○ | ● 黒はまりさ種 白はれいむ種を示す。 そして黒白のほうにこう言う。 「いいかお前。これからちょっとしたゲームをする。カンタンなクイズだ。俺が問題を出し、このハゲが答える。 お前たちは助手だ。上手くこのハゲが答えられたら三匹とも離してやる」 「なんでそんなことしなきゃならないの?ばかなの?まりさたちをはやくはなしてね!ごはんもちょうだ」 ドスッ 「死ぬか?」 目の前にメスを突き立ててやると大口を開けて思考停止した。だから怖いって。 「や゛り゛まずうううううう!!」 さて、では実験開始だ。まずはハゲを起こそう。すぅ… 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆゆっ?「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 三匹とも律儀にお返事。ハゲまりさはガムテで固定されているため視界が動かせず、声の主がわからないようだ。 「ゆっ?いまのはまりさ?れいむ?なんでしばられてるの?まりさうごけないよ?」 すっかり先ほどからの流れを忘れている。餡子脳め。前に回りこんで話しかける。 「さて、まりさ。これからお前に3問のクイズを出す。ゆっくりでも答えられる簡単なものだ。 ひっかけはない。お前が一つでも正解したら、三匹とも返してやる。 ただし全問不正解なら、三匹とも一生ゆっくり出来ない目に遭わせてやる」 「ゆ゛っ!そんなことよりおぼうし返し」 ドスッ 「死ぬのか?」 「っ!!や゛り゛ま゛ずううううう!!」 こいつら本当に単純だな…釣られて残り二匹もプルプルと震えてるし。 「さて、第一問目だ。おい、そっちの赤いの」 「ゆっ?なに、あいのこくはく?」 「…ホントムカツくなお前…まあいいや、そっちの帽子なしを思い切りバカにしろ」 「ゆー、いやだよ、おともだちの悪口いっちゃいけないんだよ」 お前さっきアルシンドとか言ってたろうが… 「しなきゃ即潰す」 「ゆ゛っ!!わがりまじだっ!…ごめんねまりさ。…ばーかばーか、ゆっくりしてないはげまりさー」 しぶしぶといった感じでけなし始めるれいむ。ハゲはそれを見て、顔を真っ赤にして耐えている。 イヤイヤながらの中傷とはいえ、自分の自慢の髪がなくなったのは事実。自慢のおぼうしがなければ 仲間の目に自分はさぞや滑稽に写るだろう。それを想像して苦しんでいるのだ。 「…よし、良いぞ。さて。ハゲ」 「はげっでいうだああああ!!」 「うるさいハゲ。今お前をけなしたヤツの名前を言ってみろ」 「げな゛じだのはまり゛ざだよ゛おおおおお……ゆ゛ゆっ!?」 それを聞いて俺ニンマリ。友人も関心したような顔で眺めている。 「ゆ!?まりさなにもいってないよ!!けなしたのはれいむだよ!」 帽子有りまりさはぷんぷん憤慨している。当のハゲまりさは自分の口にした言葉を信じられないようだ。 「げっ、けなじだのは、まり…さ?ちがう、まりざじゃなぐで、まり…ゆ゛うううう!?」 「ハイ不正解ー」 「「ま゛り゛ざのばがああああ!!」」 まりさは混乱していた。左目で見たれいむが自分をけなした。 そしてそのことを口にした瞬間、なぜか自分の口がまりさと言っていた。 まりさは右目側にいる。ちゃんと判っている。 頭ではわかっているはずだ。だが、なぜか口にできない。 まりさは、自分の口が自分のものでなくなってしまったような、強烈な混乱に突き落とされた。 「じゃあ残りの二問いってみようか。かんたんな問題だろう?ゆっくりの赤ちゃんでもわかる」 「ぞうだよ゛!!なんでばがらな゛い゛の゛おおおお!!」 「ま゛りざのばがあああ!!」 「ゆっ!!ばかじゃないよ!!まりさわかってるよ!わかってるけどまりさのおくちさんがああ!」 二匹に責められ、ハゲまりさはさらなる混乱に叩き落される。自分はわかっているのに! 「はいはいバカハゲ。2問目、お前と似た見た目なのはどっちだ?」 あまりにも簡単な問題に、一瞬バカにしたような顔を取り戻すハゲまりさ。しかし… 「ゆっ!かんたんだよ!!れい…ちがっ、れい…ちがうのおおお!!」 「何がちがうんだよバカハゲ。さっさと答えろ。れい、続きは?」 「ゆうっ!バガじゃないいい!れい…じゃない゛いいい!!でいいいい!ちがううう!!!」 さすがに異常に気づいたのか、縛られた二匹がハゲを心配そうに見ている。 「まりさ、どうしたの?ばかになっちゃったの?」 「ぢがううう!!わがっでるのにぐぢざんがいうごどぎいでぐれないの゛おおお!!」 これほど上手く行くとは思っていなかった俺は、笑いを堪えるのに必死だった。ここで笑えば 俺が原因だということが餡子脳たちにも判ってしまう。友人は既に部屋の隅で笑いにのた打ち回っている。 「れ、れい、ってことはれいむだな?」 「ぢがううううでいぶじゃなぐででい…ちがううう!!!」 何度も何度も同じことを繰り返すハゲ。その様をじっくりと楽しんだ俺は、疲れきったハゲに宣告する。 「時間切れだ。こんな簡単な問題にこれほど時間がかかるわけがない。よって、やる気なしと判断し不正解」 「ぢぎゃううううう!!!」 悲鳴のように否定を続けるハゲに、残りの二匹は怒り心頭といった様子だ。 「バカハゲまりさ!!おにいさんの言うとおり、赤ちゃんでもわかるよ!」 「まりさに似てるなんて言われなくてよかったよ!こんなバカハゲといっしょにしないでね!」 「ゆっくりしね!」「ゆっくりしね!」 ここまで見れば判るだろうが、脳梁を切断すると、右脳と左脳の情報伝達に異常が発生する。 餡子脳に右脳左脳があるかは判らないが、それに相応する機能はどうやらあるようだ。 まあ、原生生物でもない歴とした知的生物として生まれた以上、左右の区別があるのは当たり前。 通常、左目で見た情報が右脳(右でなくとも、ともかく左目からの情報が伝わる部分)に伝達される。 次に左脳(でなくとも、言語をつかさどる部分)によって言語化される。 しかしその連携が手術によって切断されたため、情報を伝達、理解は出来ても別部位での言語化が出来ない。 結果として混乱が生じているのである。 「では、最後の問題だ」 二枚の紙に黒のマジックで文字を書き、3匹から良く見える位置に並べて立てる。 『たすかりたい』『たすかりたくない』 「右か左かで答えろ。それ以外なら殺す」 「がんばってまりさ!!まちがえたらぜったいにゆるさないよ!」 「みつあみのないほうってならったでしょ!!まちがえたらあかちゃんいかだよ!!」 「ゆっ、みっ、ちがっ、みいっ!ちがうっ!!なんでくちさんいうごどぎいでぐれないの!!」 二匹は絶望と侮蔑の入り混じった表情で、ハゲの珍回答を待つしかない。 「ゆ゛っ、みっ、ゆがっ、みっ…!!ゆぐいいいががががが…」 プレッシャーと、自尊心を砕かれた痛み、そして自分の体を信用できない不安から、口から泡を吹いている。 10分ほどハゲまりさの笑える奮闘を堪能してから、二人は後始末に入った。 「お前、あの時アイツが知恵を回して『あべこべ』に回答しないって、信じてたのか?」 「うん。だってゆっくりだし、パニクって、あれだけプレッシャーかけられてちゃムリでしょ。 人間ならよく、プライドを守るために作話…つまり思ってることと違う答えを言って、辻褄合わせるんだけどね」 「所詮ゆっくりはゆっくりか…嘘つきで有名な黒白なのにな」 餡子まみれの手術器具を洗いながら、二人の医師は、ゆっくり脳外科の発展の可能性をその場で諦めた。 あとがき:脳梁切断の手術はどうやら今現在なお行われているようです。 非常に重いてんかんの発作をほぼ根治できるとかできないとか。 なお、その手術による後遺症を負った人に対する差別意識を増長する目的で書いたわけではありません。 ゆっくりにロボトミーかましたかっただけです。初SSゆえ拙作をお赦しください。 それと。アク禁で投下報告できなかったお詫びと、wikiへの追加をしてくれた方に感謝を。
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我が家を荒らしたゆっくり霊夢を飼ってから一週間。 俺は許してあげた振りをしてゆっくり霊夢に弾幕ごっこを教えてあげた。 といってもビー玉を俺が転がしてゆっくりがそれを避ける。 いっぱい避けたらご褒美にプチシュークリームを転がしてやるという程度のものだ。 簡単な遊びだが一週間続けたらゆっくりはかなり回避能力が上がっていた。 ちなみに一週間前はビー玉をゆっくり転がしても、 「ゆ! びーだまキレイ!」 などと言って微動だにせず当たるし、ご褒美にシュークリームあげると言っても 「そんなのいいから今ちょうだいね! ゆっくりできないよ!」 などと言う始末。その場でミンチにしたいところだったがそこは我慢した。 そんな事を言ったゆっくりも何度か同じやり取りをした後ビー玉を避けてくれた。 「ゆ! よけたよ! はやくちょうだいね!!」 一回目は一度ビー玉を避けたら一つのプチシューをあげた。 二回目は二度避けたら、三回目は三度。 徐々に回数を増やしていったがゆっくりは不満も言わずに避けていた。 元々体を動かすのが好きなゆっくりだ。この遊びが楽しくなってきたのだろう。 しかもゆっくり転がってるビー玉に当たらないだけで甘くて蕩けるシュークリームを食べられるのだ。 ゆっくりは"ビー玉を避けたい"と思うようになった。 そして今やそれなりに速い弾も避けられるし、複数のビー玉を転がしても体を縦に伸ばしたり弾幕の薄い場所へ逃げれるようになった。 (そろそろいいかな) 俺はガラクタ箱の中からとある遊具を持ち出した。 「ゆっくりー、今日も弾幕ごっこするぞー」 「ゆっくりだんまくよけるよ!!」 弾幕ごっこ=楽しいと認識しているゆっくりは今日も乗り気だ。 残念ながら今日から楽しくなくなるんだよな。 「それ、最初から激しくいくぞー」 「いっぱいきてもよゆうだよ!! ゆっくりはじめてね!!」 余裕ですか。だが今日のビー玉はすげぇぞ。 俺はビー玉を先ほど持ち出した遊具に取り付けると、背中のトリガーを押し込んだ。 知っている人もいるだろう。そう、ビーダマンだ! びゅんっ! 「ゅ!?」 ビー玉はゆっくりの頬をかすめるとそのまま壁へと勢いよくぶつかる。 やっぱビーダマンすごいな。バトルフェニックスとかめちゃなつかしいw 俺が懐かしの遊具で懐かしんでいる一方ゆっくり霊夢は震えていた。 「ゆ、ゆっくりよけられないよ! ずるいよ!!」 「ん~? かすったけど避けられたじゃないか。ナイスグレイズ!」 ビッと親指を立てると、単純な霊夢は褒められて嬉しいらしい。 「ゆゆー、よゆうだったよ!」 「じゃあもっと打つな」 「ゆ"っ!? ゆっくりまtt…ごぶぇっ!?」 今度はゆっくりの体にクリーンヒットさせてやった。 あー、かわいそうにビー玉がゆっくりの体内に埋まっちゃったよ。 「あ"あ"あ"ぅ"!! いだいよお"!!!」 体を撃ち抜かれた痛み、体内に異物が残ってる苦しみがゆっくりを襲う。 ゆっくりはその場でぷるぷると震えて動けないでいた。 「ほらどうした? 止まってたら次の弾に当たっちゃうぞ?」 「や"、や”め"でぇ」 言いながらゆっくりは痛みを堪えながら動こうとする。一週間鍛えたからな。体が避けようと反射で動くのさ、たぶん。 「でもだ~め」 今度は締め撃ちだ。弾幕はやっぱパワーだよな! ブォンと風を切って放ったニ撃目はゆっくりの額へと突き刺さった。 「………う"ぎゃお"ぼおぉぉぉ!!!」 一瞬の静寂の後ゆっくりの悲鳴が部屋に響き渡る。しかし額を撃ち抜かれたぐらいじゃゆっくりは死なない。 「なはは、何回ぴちゅったら気が済むんだよ。早くしないと残機なくなるぞー?」 「ひぎっ、ひぎぃ」 なおも苦しむゆっくりに今度はビー玉の連射を浴びせてやる。 昔のマンガで、ビーダマンは人に向けて撃っちゃいけないとか言ってたけどゆっくりは人じゃないからいいよね!! 「い"た"い"、い"た"、い"た"び、びたいひびぃ!!!」 連射だから威力弱くてゆっくりの皮を突き抜けないけど、ビー玉が当たった個所からゆっくりは凹んでいく。 ゆっくりは傷だらけになりながらもなおも避けようともがいていた。 だが、避けられるようにビー玉を転がしていた昨日までの弾幕ごっことは違うんだよな。 今日のは全部本気の自機狙いだもんな。 手元のビー玉が無くなる頃には最初はまんまるだったゆっくりが今はデコボコの紙粘土みたいになっていた。 「ふぅ…まさに満身創痍だな」 「ぁ…ぅ…」 もはや声もまともに出せないようだ。 体には所々ビー玉によって穴が開いていたが、幸いビー玉が埋まっているおかげで餡子の流出は少ない。 「さて、コンテニュー? はいorYESでゆっくりこたえてね!!」 「い、いやぁ…」 「Yeahだって? ノリノリだなれいむw」 再びビーダマンを構える俺。当然ビー玉は充填済みさ。 「ぁ"、あ"…」 目の前に構えられたビー玉を放つ凶器に固まるゆっくりに一言。 「来世で人の家に忍び込む時は人を選ぶんだなw」 BANG!! コンテニュー? = はい = YES 終
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※現代ものです ※かなり無理がある設定だけど気にしない ゆっくりが世にあらわれて数十年経ち、ゆっくりは人々の生活に浸透していた。 愛玩用として、加工食品として、時にはストレス解消用として。 彼らはこの世のものの一部として受け入れられていった。 しかしある日のこと、ゆっくりの加工から研究まで幅広く手がける大手企業に修正不能な問題が発生した。 始まりは社長の汚職事件が発覚したことだった。 この程度ならば、代表たちの記者会見での謝罪と社長辞任で済むはずであった。 しかしそのことがきっかけとなり、その他もろもろのスキャンダルが発覚した。 その中でも痛手だったのは『食品になるゆっくりたちが食べている餌は餓えた豚も食べないようなひどい臭いを放つ劣悪なものである』ということがメディアに知られたことだった。 ゆっくりは栄養や鮮度が悪くてもなんら問題はなく、その餡子も健康に害を及ぼすものにはならない。 このことは科学的にも証明されていることであった。 しかし、一時世間を騒がせていた有害物質を含む食品も餌として使用していたこともばれてしまい、信用を完全に失い、株は紙と化した。 このようなことになり、会社は倒産、研究所は閉鎖、加工場は永久凍結されるのは自然な流れであった。 ゆっくりの一部は他の研究施設に売却されていったがその多くは山へ放たれていった。 加工場や研究所は世界各地にあり、その数は膨大だった。 そして数年後、企業の倒産により、多くの失業者が出たことやゆっくりの不法投棄騒ぎなど世間に騒がれていたが他の話題が出れば、世間は興味をなくし、いつものように人々の記憶から薄れていった。 だが着実に問題は発生していた。 野へ放たれたゆっくりたちは加工場で何世代も過ごしており、野生で生きていくことは不可能だった。 水の危険性、捕食種の恐ろしさ、野生生物の存在、ゆっくりという種族の脆弱さ、全てを忘れていた。 その中で数を減らしながらも経験を経て、やがて野生へと還ることだろう、専門家もそう結論づけていた。 だが、よりゆっくりしたいという浅ましい執念と価値観の違う先住ゆっくりから追い出されることなどを彼らは失念していた。 あるゆっくりは山を降り、人の住む町へと入っていった。 あるゆっくりは恵み豊かではあるが、危険も多い平原へ移り住んだ。 あるゆっくりはもともと住んでいたゆっくりに打ち解け子を増やした。 しかしこれはゆっくりの生活圏が広がり、人と接触知ることが多くなったということでもある。 これにより、各地でゆっくりによる被害が発生した。 もともと自然界のバランスを保っていたゆっくりの数が激増したことにで人以外にも被害が出ることになった。 ゆっくりが家宅に侵入、家財道具が破損した。 ゆっくりに畑をあらされ、収穫できなかった。 ゆっくりが山の資源を食い荒らし、他の生物の個体数が減った。 ゆっくりが大量に溺れて川が汚染されて生物の種類が減り、河の流れ込む海にいたり、海洋汚染にもつながった。 これらは以前から騒がれていたことだがゆっくりが増殖したことにより、目に見えるほどの事態になった。 しかし被害はこれにとどまらなかった。 加工場では繁殖させるため、個体数を増やせるように特殊なゆっくりが使われていたことにより、自然ではありえない速度で増えていき、山は一面ゆっくりだらけになり、他の生物を追い出し、その山は禿山に変わってしまったところもあった。 数が増えていったことにより、ゆっくりは人の生活圏にも侵入し、町のゆっくりも増えていき、 ゆっくりがゴミや死骸を撒き散らすことにより、町にも汚物が溢れることになった。 道路を通行しようとして車に轢かれて、車やバイクがスリップし、交通事故の多発につながった。 研究用として使われたゆっくりには薬物実験にも使われたものもあり、ゆっくりには特に変化がなかったが、餡子の中で変化し、有毒になるものも数多くあった。 渡り鳥が大量死していたり、飼育していた動物が変死したりという事件が起こり、解剖してみるとゆっくりのものと思われる餡子が胃に入っており、その中から人をも死に至らしめる物質も検出された。 このような事件はメディアが放っておくわけもなく、連日報道され、人々は『ゆっくりは人に対して害になる』という考えを抱くようになった。 その流れに乗るようにゆっくりの悪い点ばかりを掲載したような書籍も出版された。 『ゆっくりは総じて人を下であると見ている』 『れいむは愚鈍であり、まりさは薄情、ありすはレイパー、ぱちゅりーは貧弱な愚者である』 『ゆっくりは人類の敵』 このようなことは冷静に見れば何の根拠もない嘘八百であるものばかりであったが、メディアもそれを煽り立てるように報道して、人々はゆっくりに対し悪いイメージを抱いていった。 飼いゆっくりは捨てられ、ゆっくりの加工食品も売上が落ち、月日は流れた。 各国は政府に対し、ゆっくりをどうにかするよう訴えたデモが起こり、加熱していった。 政府も何もしなかったわけではなかったが、駆除しようにも数が多すぎて瞬く間に増えていき、 経費もかさみ、どうにもできなくなっていた。 ゆっくりを捕獲した数に応じて賞金を出す国もあれば、ゆっくりの駆除を義務とした国もあったが思うような成果は得られなかった。 ゆっくりを効率よく駆除できる策や薬品の開発を待つばかりとなった。 ゆっくり対策費用などにより、経済不況が起こり人々は不安な毎日を過ごすようになり、ゆっくりへの憎悪を強めていった。 こうして地上にゆっくりの安住の地はなくなった。 ※※※※※ れいむは分からなかった、どうしてこんなことになってしまったのか。 狭い檻の中、自分のかわいい子供たち、赤れいむ2人赤まりさ1人と一緒に入れられ考えた。 れいむは春に両親ともれいむの間から長女として生まれた。お母さんはとても優しく、2人に 挟まれるととても安心でき、幸せな気分になれた。 みんなで一緒に食べるご飯もおいしく、すくすくと成長した。 長女としてみんなの先頭に立ち、まとめ役としてお母さんの役に立とうとした。 お母さんはそのことをとても褒めてくれて、「れいむが大きくなったらとても いいお母さんになれるね」と言われ、嬉しかった。 季節が過ぎみんな大きくなり、冬が来た。冬の間は狭いおうちの中、みんなで寒くないよう固まっていた。 妹たちはお外で遊びたいと駄々をこねたりしたが、れいむはみんなでくっつきあっているのが好きだった。 お母さんの綺麗なお歌もいつでも聴けたし、穏やかに過ごせた。 一人も欠けることなく春になり、れいむも十分に大きくなって、ついに巣立ちの日を決めた。 お家の前に立ち、みんなに別れの挨拶をした。秋に生まれた妹たちは行かないで大泣きした。 れいむも泣きそうになったがお別れは笑顔でしようとがんばって笑っていたが、今にも泣きそうだった。 お母さんが「辛かったらいつでも戻ってきていいよ」と言ってくれた。 その一言で涙が我慢できなくなった。 今まで育ててくれてありがとう、お母さんみたいにゆっくりしたあかちゃんをうむからね、と みんなにお別れした。 半日ほど跳ねて綺麗なお花さんが咲いている野原についた。 そこではいくつかのゆっくりの家族がお花を食べたり、みんなで歌ったり、 遊んでいたりとみんな楽しそうだった。 家族のことを思い出し、寂しくなったがれいむもお花さんを食べたりした。 日が傾きみんな自分たちのおうちへ帰ろうとしていた。れいむもお家を探そうと森を探索していたとき、1人のまりさと出会った。 ゆっくりしていってね!と挨拶した後、まりさに「何をしているの?」と尋ねられた。 家を探していることを伝えると、「まりさのお家に泊まってっていいよ!」と言ってくれたので 甘えさせてもらうことにした。 次の日も一緒に食べ物を集めたり、ゆっくりしたり、たくさんのことをしてまた泊めてもらった。 そんなゆっくりした日が続き、二人は恋をした。どちらともなく告白し、一緒になることを誓った。 暑い日が続くようになり、ご飯が豊富になってきたころにすっきりをして頭から茎が生えた。 そして3人とも無事に生まれた。茎を食べやすいように噛み砕いてあげた。 「おかぁしゃん、ありがちょぉ♪」赤ちゃんがお礼を言ってくれた。生まれてきてくれてありがとう。 れいむは最高に幸せだったし、これからももっとゆっくりできるだろう。そう信じて疑わなかった。 次の日、まりさは赤ちゃんたちのためにご飯を集めに出掛けた。その間れいむは赤ちゃんたちと す〜りす〜りしたり、お歌を歌ってあげたり、舐めて綺麗にしてあげた。 赤ちゃんたちがおなかがすいたと言い始めた。まりさはそろそろ帰ってくるだろうと待った。 すると、お家を隠している枝や葉っぱがどかされていった。まりさが帰ってきたと思い、ゆっくりしていってね!とお帰りの挨拶をした。だけど見えた顔はまりさじゃなかった。 そして長いものが伸びてきてれいむの頭を掴んだ。痛い、離して、いくらいっても離してくれなかった。 そして外まで引っ張り出された。そして外にいるのは何なのか見た。 れみりゃよりずっと大きく、長い手足がついていた。お母さんから聞いたことがある、 『にんげんさん』だ。 そして、れいむは袋に入れられた。出してと叫んでもだめだった。赤ちゃんたちが何か言っているがうまく聞き取れない。赤ちゃん逃げてと叫んだ。 そのうちくぐもった声になった。きっとれいむのように袋に入れられてしまったんだ。 袋に入れたまま、れいむはどこかへ連れて行かれた。 冷たい檻の中に赤ちゃんたちと一緒に放り出された。赤ちゃんたちは「いちゃぃぃぃぃ」と 泣いていたがぺ〜ろぺ〜ろすると泣き止んだ。 この檻から出られるんだろうか、きっと無理だろう。『にんげんさん』はれみりゃよりずっとずっと怖いとお母さんは言っていた。ここから出れたとしてもまた捕まってしまうだろう。 正直怖くてたまらなかった、今にも泣いてしまいそうだ。けど泣いたら赤ちゃんたちが不安になってしまう。 赤ちゃんにはゆっくりしてほしい。 まりさはどうしているだろう。一生懸命探してくれているかもしれない。助けてほしい、 ここはとてもゆっくりできない。でも助けに来てくれてもまりさも『にんげんさん』には敵わないだろう。 それでも助けに来てくれると思っていないと不安に潰されそうだ。 れいむはもうゆっくりできなくなるだろう。そう思うと楽しかった思い出がよみがえってきた。 お母さんと一緒にいたこと、まりさとのゆっくりした日々、でも二度と叶うことのない夢。 赤ちゃんたちにもゆっくりしてほしかった、楽しいことを何も教えてあげることができなかった。 そう思うと気分が沈んだ。 「おきゃぁしゃん、どぅしちゃにょ?」 暗い顔をしていたのを見られたんだろう、赤ちゃんが聞いてきた。 大丈夫だよと言おうとしたが、ちょっと涙声になってしまった。 「おきゃぁしゃん、どきょきゃぃちゃぃぃちゃぃにゃにょ!?ぺ〜りょぺ〜りょしちぇあげゆきゃりゃ ゆっくちよきゅにゃっちぇにぇ!ぺ〜りょぺ〜りょ♪」 「にゃりゃまりしゃみょ〜♪ぺ〜りょぺ〜りょ♪」 「りぇいみゅみょ〜♪」 ちょっとくすぐったいが、赤ちゃんたちがれいむを励まそうとしてくれているのが分かる。 涙を我慢できなくなった。そして今までにないほどの大声で泣き叫んだ。 それを見た男の感想は「でかい饅頭が泣き叫び、ちっこい饅頭がまわりで気持ち悪い声を出して でかい饅頭を舐めているのは最高にキモい。饅頭は共食いすると言うし、大方腹が減って食おうとしているのだろう。浅ましい奴らだ。」というものだった。 ゆっくり処理場で働く男はさっさと済ませてしまおうと思い、ゆっくりの入った底に キャスターのついた檻を押していった。 れいむが男が近くにいるのに気づき、 「ここからだしてね!」 と言っていたが無視された。 目的の場所に着いて、男は檻を押す手を離し小窓ほどの大きさの鉄の窓を開いた。 そこから目も開けられないほどの熱気が立ち上る。ここはゆっくり焼却炉、ゆっくりを焼却処分するために国が建設した施設であった。 男は檻の上部を開けて赤ゆっくりを捕まえだした。 れいむは赤ゆっくりたちに 「はやくおかあさんのおくちにはいってね!」 と言っていたが男が待つわけもなく、一匹もれいむの口の中に入ることはなかった。 「はなちちぇ〜!」 「おきゃぁしゃん、たしゅけちぇ〜!」 「きゅりゅしぃよ〜!」 赤ゆっくりは男の手の中で悲鳴を上げていたが男は 『ゆっくりは命乞いをするが浅ましい執念で他のゆっくりを身代わりにしてでも生き延びようとする醜い物体である』 とマニュアルに書いてあり、それに従い容赦はしなかった。 そして赤ゆっくり3匹を焼却炉に放り込んだ。 赤ゆっくりは断末魔もなく燃え尽きた。 「でいぶのあがぢゃんがああああぁぁぁぁ!!!」 霊夢は嘆き悲しんでいたが 『ゆっくりは他のゆっくりの死を嘆き悲しむそぶりを見せるが、餌を与えたり、 時間がたてばそのことを綺麗に忘れる』 男はマニュアルを信じ切っていた。れいむに様子を見ても、 これだからゆっくりは嫌いなんだ、と言うことしか思わなかった。 そしてれいむを両手で掴みあげて焼却炉に放り込んだ。 「ゆぎゃあああああぁぁぁぁあづいよおおおおおおぉぉぉぉ!!!」 れいむは思った。どうしてこんな目にあうの?れいむ何も悪いことしてないよ? このままじゃ死んじゃう!助けてまりさ!助けてお母さん! この焼却炉はゆっくりを文字通り“必殺”するために設計されている。 れいむは欠片も残さずに燃え尽き灰になった。 男は次に処分するゆっくりたちを運び込むために、鉄の窓を閉め檻を押しながら離れていった。 実はまりさも少し前に処分されていた。 まりさがご飯を探しているときに捕まり、巣はどこにあるか言わなければ殺すと脅されていた。 最初は抵抗した。しかし、殴られ続けて歯が全部折れ、どうにかしゃべれるような状態になって 白状した。 巣の前まで来るとまりさはまた殴られて、今度はしゃべることもできず、 右目が飛び出した状態にまでされた。そしてれいむや赤ゆっくりたちが入れられた袋とは別の袋に入れられた。 まりさは袋の中でれいむと赤ゆっくりたちが捕まるのを聞いて、心の中で何度も ごめんね、ごめんね、とわび続けた。 れいむと赤ゆっくりが入れられた檻の近くの檻に入れられていた。 しかし薄暗い部屋の中、周りは見えず声だけでしかれいむと赤ゆっくりたちを確認できなかった。 お母さんはここにいるよと言いたかった。でも声が出せなかった。 やがてまりさの檻が運ばれていった。 れいむや赤ちゃんと一緒にいたい、と心で思うことしかできなかった。 そしてまりさは焼却炉に放り込まれた。 痛い、熱い、助けて、どうして、いろんなことが思い浮かんだが声には出せなかった。 まりさは悲鳴を上げることもできず灰になった。 こうしてれいむとまりさ一家は他のゆっくりたちともだが、一緒になることができた。 ちなみにれいむの両親と妹たちも数日前に焼却処分されていたが、灰はすでに書き出されたあとであったため 一緒になることはなかった。 ゆっくりはゆっくりすることが果たしてできるのだろうか あとがき また懲りずにSSを書いてみました。前よりは上達したのかしら。 実は続きも考えてあるんですけど今回はここまでとしました。 続きはまた今度にします。需要あるか知らんけど。 やっぱりゲスよりもこういう無垢なゆっくりを虐めるほうがぞくぞくしますね。 ゆっくりは人間みたいに考えることができるがボキャ貧だから人間に誤解されて ゲスだと認識されたりしているんだと思う。 きっと7,8割は人間に関わることもせず、平和に過ごしているんだと思う。そう思いたい。 まあ何はともあれ、これからもゆっくりを虐めていこう! それでは、また。 こんな駄文を読んで頂きありがとうございました。 書いたSS ゆっくりいじめ系1932 バカは死んでも
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注:前にご当地ゆっくりのSSを書かれた方とは別人です。勝手にネタを使って申し訳ありませんでした。 あれを見たら無性に書きたくなったので。今は反省している。 注2:このゆっくりは広島弁をしゃべりますが、仕様です。 ご当地ゆっくり!(広島?編) さて、仕送りというものは、一人暮らしの独り身には故郷の薫りを届けてくれる、ほぼ唯一の手段と言ってもよい。 であれば、それを喜ぶのは、大抵の場合は適切な反応と言ってよいだろう。 そして、その仕送りで、いやに重い段ボールを男の母は送ってきた。 米でも送ってきてくれたのかな、とは思うが、時折ガタガタと揺れているような気がする。 さすがに、うーぱっくを運送業の人間が受け持つとは思えなかったが、あける事がどうにもためらわれ、ひとしきり考えた後に、開梱を試みてみよう。 そう決心はしたたが、どうにも嫌な予感がする。 カッターは使うまい、と考えて、ぺりぺりと布テープを剥がしていき、段ボールのふたを開けた。 「ゆっくりしていきんさい!!!」 ぱたん、という音を立てて、反射的に男はふたを閉じる。 目の錯覚でなければ、自分の頭より若干大きい程度のゆっくりが入っていた。 運送業者が間違えたのかと思うが、しっかりと送り先のところに自分の住所と、送り主のところに母の名が書かれている。錯覚ではない。 もう一度、慎重に開ける。そこには、ふくれっつらをしたゆっくりゆかりが居た。 家で飼っているゆっくりの中でも特に古株で、ゆっくりらんとゆっくりちぇん、果てはゆっくりチルノの親代わりまでやっている。 母が独身のころから一緒だったというから、何年生きているのか、見当もつかない。 ゆかり種独特のZUN帽には、枯れたところを見たことが無い紅葉が飾られている。 「なにはぶてとるんじゃ、おまえは」 「おまえが心配じゃけぇわしがせっかくきてやったのに、どういう態度なんよ。ゆっくりできん奴特有の態度が鼻につくわい」 ぷりぷりと怒りながら、ゆかりはそういうが、いきなり来られても困ります、と返したくて仕方が無い。 そもそも、どうやって入ったのかと思うが、ゆかり種特有の体の柔らかさを全力で発揮したのだろう、と思いたい。 これだけ重いのに、気付かない母も大概どうかと思うが。 「ほいじゃが、母ちゃんが心配しとるんじゃないんか?」 「ききゃえーじゃないか。ゆっくり聞いていってね!!!」 こういう時だけ、何故か標準語になるあたり、色々作為的なものを感じるが、大方厭味なのだろう。 昔からそういうやつだったが、本当に子供だったころに、この言動で腹を立てて、ゆかりの頬をひっぱりすぎて破いてしまい、異臭騒ぎになった事がある。 故に、手を出すのも憚られた。いくら腹が立っても、もうやる気は無いが。 電話をかけて聞いてみるが、電話の向こう側に居る母はのんびりした口調で、心配じゃ心配じゃゆうとったけぇ、かわいがってやりんさい、と返してきた。 問い詰める前に電話をゆっくりらんに代わられ、ちぇんがさびしがってるから、はやくかえってきてね!!! とまで言われてしまい、言い返す言葉がなくなった。正確には、返す気が無くなったのだが。 さて、電話は切れたが、ゆかりは例のにやにやとした表情を浮かべて、こちらを見ている。 ただ、心配だから来たというあたり、なんというか、ゆっくりにまで心配をかけていたのかと思うと、若干気がとがめた。 しかし、それを認めるのもなんとなく癪で、段ボールの中身を出していく。 紅葉饅頭や、広島菜漬け、あとは大量の夏みかんと、ゆかりの大好物である羊羹が二棹、他にもこまごまとしたものが入っている。 さすがに、牡蠣はクール便ではなかったので入っていなかったのは残念だった。 生牡蠣をちゅるっとやりたいなぁ、と考えながら、羊羹を冷蔵庫に入れようとすると、ゆかりがぴょんぴょんと跳ねながら、何事か訴えている。 だが、口に出すのはくやしいらしく、黙っているが。 「食後のお茶の時間に食べるけぇ、我慢しんさい」 「わしゃおなかがへっとるんよ、ゆっくりいそいでね!!!」 聞けば、三日分の食料が入っていたのに、美味しくてうっかり食べ過ぎてしまい、二日目には無くなってしまったらしい。 一時的な冬眠で凌いだ、とはゆかりの弁だが、やせ我慢だという事は良くわかった。 それでも、荷物に手を出さなかったあたりは、年の功とでも言うべきか。 ゆっくり種は言い含めてやれば、たいていのことは理解できるのだが、おあずけはそれ程得意ではない。 「お好み焼きが食べたいんじゃが、お好み焼き屋は近くに無いん?」 「あるわけないじゃろう。ここは広島じゃないんじゃ」 「この際大阪風でもええよー」 要は、ともかくお好み焼きが食べたいから食べさせて、という事らしい。 勝手だなぁ、とは思うが、まあ材料費はそんなにかからないから良いか、と納得し、具材を切って種に投入して、フライパンで焼き上げる。 いい色になったところで、皿に載せてソースをたっぷりかけ、青海苔を散らす。 マヨネーズは、かけるとゆかりが怒ってひとしきり語りだすので、かけない。 ゆかりを膝に乗せ、箸で一口大に切ってやって食べさせる。 自分で食べさせても良いが、そのときは、口には出さないものの残念そうな顔をさせてしまう。それは望む結果ではない。 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー!!!」 青海苔を口の端につけながら、ゆかりは本当に幸せそうに緩んだ表情でそういう。 普段は厭味だが、こういうところはかわいくて仕方が無い。 「ほら、青海苔ついとるぞ」 口元を拭ってやり、もう一度口元にお好み焼きを運んでやる。 今度もまた、おいしそうに食べてくれた。 半分ほど食べたところで、時折、ちらちらとこっちを見始める。 確かに美味しいが、このあとに大好物の羊羹が控えている事を思い出したらしい。 かわいいやつだ、と微笑みながら考えて、口元にお好み焼きをはこんでやる。 目の前のお好み焼きか、羊羹か、と逡巡している様子がかわいらしい。 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー!!! でも、羊羹食べさせてくれたらもっとしあわせよー!!!」 「ほんとに現金なやつじゃのぅ」 そういって、お互いに声を出して笑いあう。 久々に、ゆかりと『ゆっくり』できているのを感じる。そして、ふと考えた。 たまには故郷に帰ろう。ゆかりといっしょに。 了 あとがき どうも、猫の話と犬の話を書いた人です。ちなみにはぶてる、とはまあ、ニュアンス的にはすねる……といったところでしょうか。 方言が滅茶苦茶なのは、中の人が最近広島に帰っていないから……というのがあったり。 一口に広島弁と言っても、実のところ地域差もありますし。どうしたものやら。 あと、広島というと色々取れるんですが、あえて今回は紅葉だけにしてみました。 ゆっくりしずはでも出せば良かったかもしれませんが……どう書いていいのか(ry ゆかりのふてぶてしさが良かったです、雰囲気にゆっくり出来ました。 -- 名無しさん (2009-03-18 16 06 27) そうそう、オタフクソースをたっぷりかけて食べるお好み焼きがうまいんですよ。 -- 山口県民ゆっくり (2009-03-27 08 37 26) いろんなところに共感しながらゆっくり楽しめました。面白かったけぇ、次回作に期待しとるけぇね! -- 連レススマソ (2009-03-27 08 42 41) わしもゆっくりしないといけんわい。 -- ゆっくりげん (2010-06-05 19 02 51) 名前 コメント
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「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 耳障りな万能の挨拶が、霧のかかった湖の畔にこだまする。 悪魔の棲む館の近所に集う饅頭たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で元気よく飛び跳ねている。 汚れを知らない心身を包むのは肌色の皮。 生まれつき被っているZUN帽は落とさないように、体内に詰まっている黒い餡子は吐き出さないように、ゆっくりと過ごしていくのが彼ら(彼女ら?)のたしなみ。 もちろん、天敵に追いかけられて必死こいて逃げ回るなどと言った面白、否、可哀想なゆっくりなど存在していよう筈も無い。 だがそれもたった今までの話。 元気に跳び回るゆっくり二匹の傍の茂みには、まさにその天敵が潜んでいたのである。 「ゆっくりたのしいね!!!」 「ゆっくりたのしいよ!!!」 「ぎゃおー!たーべちゃうぞー!!」 天敵が茂みから飛び出した瞬間、それまで太陽にも負けんばかりの笑顔だった二匹の顔が凍りついた。 ゆっくりれみりゃ。略してゆっくりゃと呼ばれるそれは、他のゆっくりとは明確な差異があった。 基本的にゆっくり達は人間の生首に似た生物である。 このゆっくりゃもその例に漏れず生首っぽい外見なのだが、一組の蝙蝠に似た翼を生やしている。 他のゆっくりには無い飛行能力も多少有しており、最大の特徴はゆっくりを好んで捕食する事である。 「ゆっゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりさせていってね!!!」 ゆっくり二匹もゆっくりゃの危険性を本能的に知っているのか、必死で命乞いを始めた。 大量の涙で頬をふやけさせた惨めったらしい表情は、極一部の、常人には理解し難いが―――加虐嗜好を持つならば歓喜する事だろう。 それはともかく、ゆっくりゃにとってそのような命乞いなど何の意味も持たない。 むしろ、ゆっくり種の中でも凶暴な部類に入るゆっくりゃからしてみれば、丁度いい前菜のようなものだろう。 あっという間に紅白のゆっくりを組み敷くと、物凄い勢いでかぶりついた。 「い゛だい゛よ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!ゆ゛っぐりざぜでえ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 「れ゛い゛む゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」 「うー♪」 喰われる紅白饅頭と、傍観するしかない黒大福の奏でるデュエットを聞きながら、荒々しく食事をするゆっくりゃ。 始めは大声で騒ぎ立てた紅白饅頭も、やがて声を出すことの無い醜いオブジェへと変貌し、そしてZUN帽以外全てがゆっくりゃの中に納まった。 「うー♪うー♪」 「う゛わ゛あ゛ぁ゛ぁぁ゛ぁぁ゛!!!」 ゆっくりゃが一息ついた隙に、黒大福がその場から猛然と逃げ出した。 どうやらずっと逃げる隙を窺っていたらしい。どんなに仲の良い相手でも、意外とあっさり見捨てるのがこの種の特徴なのだ。 ……尤も、食事中に隙を見出せなかった時点で黒大福の運命も決まったようなものであるが。 「ぎゃおー!またないと、たべちゃうぞー!!」 「だずげでえ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!! 運動能力でも他のゆっくりを大きく上回るゆっくりゃから逃げられる筈も無く、あっさり捕まり、捕食される黒大福。 「うー!うっうー♪うあうあ♪」 二匹ものゆっくりを喰い、上機嫌のゆっくりゃ。 どう考えてもゆっくりゃよりあの二匹の方が体積が大きいが、そのような事は気にしてはいけない。それが世界の選択なのである。 食後の散歩、というより散飛を愉しんでいたゆっくりゃ。少々休憩しようと地上に降りようとした時、新たな獲物を発見した。 今日はツイている。また二匹組みだ。 そのような事を言いたげな笑顔で、再びあの言葉を口にする。 「ぎゃおー!たーべちゃうぞー!!」 だが、今度の二匹は先程の二匹とは違う反応を見せた。 「たべちゃうぞ、だってさ」 「おお、こわいこわい」 これらは、外見は先程のゆっくりれいむ、ゆっくりまりさとほぼ同じであるが、性格が大きく違う種類だった。 浮かべる笑顔も通常のゆっくりとは違い、どこか皮肉っぽい半笑いである。 「う、うー?」 自分の雄叫びで動じない相手に動揺するゆっくりゃ。気を取り直してもう一度 「ぎゃおー!たーべーちゃーうーぞー!!」 「たべちゃうぞ、だってさ」 「おお、こわいこわい」 平然としている二匹。ゆっくりゃはどうしていいのか分からず泣きそうになるが、考えてみれば所詮相手はゆっくりれいむ達。 何も恐れる必要など無いのだ。怖がらせるのはやめにして、さっさと喰う事にしたゆっくりゃ。だが 「ぎゃおおー!がぶり!!」 「かみつかれたみたいだよ」 「おお、いたいいたい」 実際に噛まれても堪えた様子も無いゆまりさ。それどころか、 「おんみょうだんを、くらえ」 「おお、まぶしいまぶしい」 何とゆれいむの方が、ゆまりさにも構わずゆっくりゃに体当たりを仕掛けた。 「うー!うぅー!」 「うぅー!だってさ」 「おお、なみだめなみだめ」 ありえない事の連続に、最早ゆっくりゃは完全にパニック状態に陥っていた。噛付いたままでべそをかいている。 もういい、こんな奴らとは関わりたくないお家帰る、とでも思ったのか、牙を引き抜こうとするゆっくりゃ。だが。 「うー!うあー!」 「うあー!だってさ」 「おお、ぬけないぬけない」 蚊に食われた際、その部位に思いっきり力を入れたら管が抜けなくなり、蚊が破裂するという。 まさにそれと同じ事が起きていた。 「ううー!おうひはえふー!!」 飛び上がって逃げようとするゆっくりゃ。だが、飛び上がる前に翼にゆれいむが食い千切った。 「う゛ぅ゛ぅ゛ー!!!」 「う゛ぅ゛ぅ゛ー!!!だってさ」 「おお、とべないとべない」 牙を引き抜く事も出来ず、空を飛ぶことも出来ない。 もはやこのゆっくりゃに出来る事といったら、嬲り殺されるまでの数時間、ただ唸り、涙を流す事だけだった。 おわり
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「突然申し訳ございません、少々お時間よろしいでしょうか?」 声がしたほうを見るとゆっくりがいた。正確に言えばゆっくりまりさと言われる種類のゆっくりだった。 「…」 飼いゆっくりの中には知能の高いものも多く、人間と同じように挨拶できるものも少なくない。 しかしこのように流暢に言葉を話すゆっくりはいなかったはずだ。 俺は他に今の言葉を発した人間がいるのではないかと思い周囲を見渡した。 「あの、すいません。私です、今喋っているのは目の前にいるゆっくりです」 またもや目の前のまりさが話す。どうやら気のせいではなかったようだ。 「少々聞いていただきたい話があるのですが」 それから数刻後、俺とまりさは俺の部屋にいる。 「こんにちは。ゆっくりしていってくださいね!」 俺の飼いれいむが俺とまりさにお茶を持ってきた。お茶といってもインスタントなのでボタンを押すだけなのだが それだけでもゆっくりにとってはかなり高い知能を有しなければできないことだ。とても利口で可愛い俺のれいむ… 落ち着いたところでまりさは話し始める。 まりさは自分のことを”セブン”と名乗った。セブンの話をまとめるとこうだ。 自分は人間の研究施設によって作られた”高い知能を持つゆっくり”であること。 自分の知能を悪用されることを恐れ研究所を脱走したとのことだった。 「現在、ゆっくりは完全に社会に浸透した存在となっています。 一般的にゆっくり達の知能は低いという認識があるため主要施設の周りをうろついても警戒されません。 人間達この認識を利用して開発されたのが私のように賢いゆっくりなのです。」 「知能が高いのはわかったけど所詮ゆっくりでしょ?盗聴くらいしか使い道ないんじゃないかなあ」 俺のつぶやきにセブンは答える。 「盗聴用ゆっくりは現在でも実用化されているみたいですね。ですが私は違います。」 まりさは帽子の中からおもむろに小型のパソコンとタッチペンを取り出した。 ペンを口に咥え器用にパソコンを操作する。 画面になにやら良くわからない文字の羅列やミサイルの設計図のようなものが現れる。 「これは研究所で開発を命じられた兵器の設計図です。まだ70%程度しか完成してませんが 完成すれば多くの人の命が奪われることになるでしょう。 このように私は人間を遥かに超えた知能を手に入れたのです!」 そう言って俺を見つめるセブン。なんだか急にセブンが俺を見下しているような気がしてきた。 俺の飼いれいむも最初はすぐ側で話を聞いていたが内容が理解できなかったらしく 俺の手によりそってすーりすーりしている。もちもちしたやわらかさが手に伝わる。やっぱりれいむは可愛いな。 「知能の高いゆっくりが増えれば世界は混沌としたものになったでしょう。 私はそれを防ぐため研究所を爆破し逃げることに成功しました。 しかし追っ手が迫っており一人では逃げ切ることができません。そこであなたに私をかくまって欲しいのです。」 「でもなんでセブンは研究所を爆破したんだ?そのまま研究所で働いていればゆっくりに都合のいい世界になったんじゃないのか?」 俺はふと思った疑問をセブンに問いかける。よほど研究所の人間にひどいことでもされたのだろうか? 「私が生まれたのは偶然…いや神の生み出した奇跡と呼ぶべきでしょうか。 神の奇跡は一度で十分。私以外に知能の高いゆっくりなど必要ないのです。」 要するに自分がだけが特別な存在でいたいがために他の可能性を潰したということなのだろう。 これなら復讐のための行動だったほうがまだましだ。 自分の力を悪用されたくないというのも建前で本当は人間の下につきたくないだけなんじゃないのか? 「それに研究所の人間は人間にしては知能が高いですからね。それにゆっくりを道具としか見ていない。 私の思い通りに動かすのは難しいと思ったのですよ。 その点あなたは人間としては平均的な能力のようだし。そのれいむとの関係から察するにゆっくりに対する感情も良いようだ。 どうでしょう、私をかくまっていただけませんか?危険もありますが相当の報酬は約束しますよ。」 やはりこいつは俺を、いや人間を自分より格下の存在と見ているようだ。さてどうしてくれようか… その時俺のれいむがまりさの前に飛び出した。 「ゆゆっ!むずかしいはなしはいいかられいむといっしょにあそぼうよ」 そんなれいむをセブンは冷ややかな目…例えるなら知能に障害のある人間を見下すような視線を送った。 「すいませんが私は大切な話をしているのです。あなたと遊んでいる暇はありません。」 「そんなこといわないでれいむとあそぼーよ。れいむおうたがうたえるんだよ。ゆーゆゆー♪」 れいむは歌を歌いだした。この気まずい雰囲気を察して和ませようとしてくれたのだろう。 れいむは歌のレッスンも受けているので天使のようにきれいな歌声を奏でる。 れいむの歌を聴いたにもかかわらず、セブンは相変わらずれいむを見下した目で見つめながら俺に言った。 「こんな歌や雑用しかできないゆっくりを飼うより私をパートナーにしてみませんか? 私の頭脳と人間の手足が合わさればこの国の経済を支配することも可能ですよ。」 俺はれいむにお茶のおかわりを頼んだ。お茶を入れに別室へ移動するれいむ。 部屋かられいむが消えたのを確認して俺はセブンの体を押さえつけ逃げられないようにする。 「決めたよセブン。どうもお前とはゆっくりできないからゆっくりしてもらうことにするよ。永遠にな。」 セブンは俺の行動と台詞から交渉が失敗したことに気づいたようだ。なんとか助かろうと俺を説得しにかかる。 「私を研究所に売り渡すつもりですか?研究所の味方についてもなんのメリットもありませんよ。 場合によっては秘密を知られたことを危惧しあなた自身の安全を消しにかかるかもしれない。」 「そういうのじゃないんだよなあ。俺はお前が気に入らない、それだけだ 死にたくないのならえらそうな御託はいいから命乞いでもしてみたらどうだ?」 俺はセブン…いやこんな奴ただのまりさでいい。まりさに最後のチャンスを与えた。 「あなたの要求を呑みましょう。ですのでこちらの安全を保障してください」 これで俺の腹は決まった。もしまりさが『ごべん゛な゛ざい゛い゛い゛い゛ま゛り゛ざがわ゛る゛がっ゛だでずう゛う゛う゛う゛う゛』 とでも言って命乞いをしたらそのまま帰してあげたかもしれない。 おれはゆっくりが好きだ。それがたとえ飼いゆっくりでなく畑を荒らすゆっくりでも。 野菜が勝手に生えてくると思う無知さも、人の言うことを簡単に信じる間抜けさも。 いや、そういう知能の低さを愛しているのかもしれない。だが目の前のこいつはどうだ。 知力だけは高いがまったく可愛げがない。 俺はまりさを電子レンジに入れるとそのままスタートボタンを押した。 レンジの中で何かを叫んでいるようだったが良く聞き取れなかった。 「ゆっっ!ごしゅじんさまおまたせ!おちゃをもってきたよ!」 お茶を入れに行っていたれいむが戻ってきた。 「あれ?まりさはどこにいったの?」 「ああ、まりさは急用ができたとかで帰ったよ」 れいむは無いはずの鼻をクンクンとさせる。 「ゆ?なんだかいいにおいがするよ。おりょうりしているの?」 「ああ今焼き饅頭を作っていたんだ。でもあまりおいしくなさそうだかられいむには別のものをあげるよ さっきスーパーでチョコレートを買ってきたんだ。一緒に食べよう。」 「ゆーっ!れいむちょこだいすき!」 チョコが嬉しいのかれいむは俺の周りをひょこひょこ飛び回る。やっぱりれいむは可愛いな。 あのまりさ、知能は高かったかもしれないがそれだけだった。 どんなに知能が高くても所詮手足の無い身のゆっくりでは生き残れない。 生き残れるのはれいむのような利口なゆっくりだろう。俺はそう思った。 ゆっくりはバカだという固定観念を覆してみたかった。でもゆっくりは所詮ゆっくりだった。 まりさは偶然の産物だし研究所ごと資料も消えたので賢いゆっくりは以後作られることは無かったそうです。 過去作 ゆっくり転生(fuku3037.txt~fuku3039.txt) ゆっくりくえすと(fuku3068.txt) ともだち(修正)(fuku3103.txt) ANCO MAX(fuku3178.txt~fuku3179.txt) このSSに感想を付ける